新年特別号【海外情報】 長引くコロナで 万国共通 、「脳の健康」「睡眠」「免疫」など需要増

 世界のサプリメント市場規模は2022年、前年比4.3%増のおよそ1,761億7,000万ドルになったとする推計値をインフォーマグループの米国業界誌NBJが発表した。NBJの分析では、世界のサプリメント市場は2022年以降も引き続き力強く成長し、2025年までに推定で2,000億ドル近くに達し、2021年の約2倍になるとしている。ただしNBJは、「多くのエコノミストは今後の景気後退を想定している。サプリメント業界は過去、2008年からの世界金融危機はじめ、危機を上手く乗り越えてきたが、今回は戦争やインフレ、長引くパンデミックまでの要因が混在しているため、世界各国の市場で同様に困難を乗り越えられるという保証はない」としている。

 

 一方、NBJによると、米国市場は2022年、多くの地域で比較的早期に新型コロナの感染者数が低下した。パンデミックから抜け出すとともに、パーソナライズされた製品の利用や、「コロナ疲れ」から睡眠サポートや抗ストレスサプリの利用が人気となった。新型コロナの影響を受けた2020年、前年比20.4%増と驚くべき成長を遂げたが、2021年は、やや平常化して2.3%の成長、さらに2022年は3.8%の成長となった。堅調な米国市場に対して、ユーロモニターのビタミン・栄養補助食品インダストリー・マネージャーであるFatima Linares氏は、「2022年の米国市場は2021年と比較して成長率は緩やかに回復すると予想されているが、2020年に記録した高成長率と比較すると低くなるだろう」としている。

 

 インフォーマグループの米国業界向けWebメディアNew Hope Networkは、2023年の消費トレンド35を発表した。トップ10には「脳の健康」「免疫」「お腹の健康」といったキーワードがトレンド入りした。2022年2~5月に1,000人の消費者を対象に調査したもの。New Hope Networkは、「ウェルネスの基本的な柱であり、世界的なパンデミックに対応して免疫力を高め、ストレスに対処し気分と認知機能の改善をめざす」ことは、引き続きトレンドになると分析している。また、同時に多くの人々が、「廃棄物の削減」や「再生可能エネルギー」、「環境配慮型パッケージ」に注目するようになり、環境問題に対応した製品を選択するようになる、という。「もっと植物を食べよう」「植物性プロテイン」など、プラントベースに関連するキーワードもトップ10にランクインしている。

 

 また、米国の自然食品店チェーン、Natural Grocerが発表した2023年自然食品店トレンドは、「健康とウェルネス」部門には「EPAとDHA」「腸の健康」が挙げられ、NewHopeのランキングにある「脳の健康」「腸の健康」と共通するものがある。食後血糖値を下げ、ダイエット効果が期待され、かつ天然素材である「アップルサイダービネガー」は、伝統的な健康飲料だが「巣ごもり需要」が高まる中、再び見直されている。「ボディケア・ビューティー」部門では、プラスチック容器を削減でき、機能性も高い「固形シャンプー」、美肌やエイジングケアへの関心の高まりからインナービューティサプリがランクインした。これらのトレンドからは、脳の健康や腸の健康、免疫力といった機能性を求めると同時に、植物性、オーガニックなど、環境保全や社会課題への関心が高まり、消費者の購入の選択基準となっていることがうかがえる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1755B号(2023.1.4)新年特別号で
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