新年特別号【行政動向】 健康被害情報の扱いで新方針、「成分名」公表せず
トピック① 健食の健康被害情報取扱い成分名等「公表行わない」
厚労省では改正食品衛生法を受けて、4つの「指定成分」について、関連が疑われる健康被害情報の公表をすでに始めている。22年6月、厚労省は関係団体との意見交換を実施。「原因不明な事例を公表する理由・根拠の説明を求める」「風評被害を起こす可能性があり、消費者に誤解を与えることを懸念」「公表対象を明確にすべき」といった意見が出た。意見交換を経て10月に行われた専門家WGで、厚労省は、“関係団体等の意見も踏まえ”、成分名や製品名を含む公表は行わないこととした。あわせて、健康食品のリスク管理全体の見直しとその円滑な運用を目的に、うまく機能していないと指摘された2002年10月の通知「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」の改正を視野に、新たな方針を検討することとした。
トピック② 景表法検討会が報告書、デジタル表示保存義務「慎重な検討を」
消費者庁の景品表示法検討会は、12月22日開催の第10回会合で「早期に対応すべき課題」「中長期的に検討すべき課題」に分けて、報告書としてまとめた。「早期に対応すべき課題」では、確約手続の導入を提言。確約手続は独占禁止法で導入されているもので、同法違反の疑いについて、公正取引委員会と事業者の合意で自主的に解決する仕組み。この仕組みを景表法に導入し、不当表示事案の早期是正を図るべきとした。また、違反行為を繰り返す悪質事業者に対する「課徴金の割増算定率の適用」などを盛り込んだ。このほか「適格消費者団体との連携」「法執行における他の制度との連携」「都道府県との連携」などを早期検討課題として示した。「中長期的に検討すべき課題」では、デジタル表示の保存義務。第9回検討会で日本通信販売協会から資料が提出され、保存にかかるコストは中堅企業の試算で年間1,000万円程度との数字が示された。報告書では、「現実的に事業者の負担が大きく、慎重な検討が必要と考える」とした。
トピック③ 健食「景表法・健増法上の留意事項」一部改定、問題表示例など追加
消費者庁は12月5 日、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を一部改定。問題事例の追加などを行った。健増法と景表法が規制する虚偽誇大表示について、「末期ガンが治る」など、明らかな薬機法違反事例なども盛り込まれているほか、広告を模した不適切事例や、企業名を伏せた上で景表法措置命令事例などを紹介している。また、「健康保持増進効果等」の具体例を示している。追加された表示は「認知症予防」「免疫力を高める」「治癒力が増す」などのほか、「健康保持増進効果等」を暗示的または間接的に表現する例として、「妊活」「腸活」「スリム〇〇」などを示した。留意事項のタイトルは「健康食品」だが、従前より保健機能食品で問題となる表示例も示している。機能性表示食品では、届出内容を超える表示の例として、届出表示が「肥満気味の方の内臓脂肪を減らすのを助ける機能性がある」であるのに、表示全体から、特段の運動・食事制限なしで誰でも容易に腹部の痩身効果が得られるかのように表示することを追加した。つづく
詳しくは健康産業新聞1755B号(2023.1.4)新年特別号で
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