新年特別号【22年健食市場総括】 前年比微増の市場規模1兆2,900億円に

~チャネル別市場動向~

 

◆通信販売◆ シェア44%、1%増の5,700億円

 健食市場を牽引する「通信販売」チャネルは5,700億円で、前年比0.9%増。8年連続での拡大となり、過去最高を更新した。市場シェアは44%。有力通販企業の健康食品売上高を聞き取りまたは推計して算出した。ただしその伸びは鈍化している。コロナ1年目の2020年の伸び率は5.9%増だった。2021年も需要は続き、4.1%増と堅調に推移。対して今年の伸び率は1%を下回った。表示規制強化もあるが、外出の増加による影響が大きい。ネットショッピングに特化した総務省「家計消費状況調査」でも、2021年の健食ネット通販支出は11%増と2ケタ増を記録したが、2022年に入り失速。22年1~10月のデータは前年同期をやや下回っている。また同調査では、コロナで5割を超えたネットショッピング全体の利用率が頭打ちになっている様子がうかがえる。

◆訪販・MLM等◆ シェア28%、2%増の3,600億円

 訪販・MLM・宣伝講習販売・配置薬ルートは前年比1.9%増の3,614億円。有力企業の健康食品販売額を推計した。このうち、訪販・MLMチャネルは同3.1%増の3,000億円。伸び率はチャネル別で最も大きくなった。コロナで市場が縮小していたものが、外出規制の緩和によって再び市場が活性化したことが大きい。ただしまだ回復途上で、コロナ前2019年の3,235億円は下回っている。22年は、業界大手・日本アムウェイへの行政処分で業界に波紋が広がった。一方、各社はイベントやセミナーを続々と再開させており、再成長に向けた機運は高まっている。オフラインの復活に加えて、コロナで浸透したオンラインを引き続き活用する企業もある。なお、宣講販は同2.3%減の254億円、配置薬は同4.8%減の360億円となった。

 

◆薬系店舗◆ シェア21%、3%増2,680億円

 薬系店舗(ドラッグストア、薬局・薬店)は前年比2.7%増の2,680億円に拡大。大手DgSの健食販売額をベースに、その他薬系店舗の売上高を推計して算出した。DgS好調持続の背景にあるのは、消費者の買い物の場として完全に定着したことが挙げられる。品揃えは多様化し、今や最も大きい売上は「食品」。医薬品だけでなく、日用品から雑貨、食品、化粧品、そして健食まで何でも揃う場として、あらゆる世代に利用されている。機能性表示食品は、店舗の視認性の良さもあり、メタボ系や睡眠系などが好調との声が聞かれた。

 

◆食系店舗◆ シェア7%、1%増の910億円

 自然食品店、健康食品専門店、百貨店など「食系店舗」は前年比1.1%増の910億円。行動制限の緩和によって客足が回復した。大麦若葉や乳酸菌といった商材のほか、プラントベースが人気となった。ただ伸びた企業でも、「コロナ前の水準には達していない」との声も。コスト高に悩む店舗は多く、今後に関しては楽観視できないとの指摘もある。つづく

 

 

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