【話題追跡】 米国発「ヌートロピック」、ハーブ系原料の新ムーブメント

 「Nootropics(ヌートロピック)」というワードが米国の健康食品業界で注目され始めている。米国の健食原料展「Supply Side WEST 2022」では、関連セミナー等も開催され、新しいムーブメントとして来場者の関心を惹いた。Nootropicsは、自然由来の成分を摂取することで、認知能力向上の作用をもたらすとされ、サプリメントやドリンクに配合することで想像力、リラックス効果、ムードを高められると期待されている。インフォーマグループの米国業界誌NBJが1,062人を対象に実施した健康調査によると、「関心がある健康の問題」のトップ3は、1位が「ストレス」(41%)、2位が「睡眠障害」「不安」(共に37%)、3位が「疲労」(34%)となった。また、「これら症状に対してどのような製品を使うか」と聞いた結果、「ハーブやボタニカル」との回答が61%で最も多かった。

 

 Nootropicsの素材は、ラベンダー、ギンナン、ショウガ、ハイビスカス、カフェイン、アシュワガンダ、ジンセン(人参)、ギャバ、セージ―― などの植物素材がメイン。薬の力で集中力や睡眠機能を高める「Smart drug」と混同されることもあるが、Nootropicsは、基本的にハーブ系の天然原料を成分としており、無理に機能を高めるものではないとされている。米国最大のマーケットリサーチ会社Research and Markets社によると、2021年のNootropicsの世界市場規模は、前年比17.7%増の39億ドル。2026年には66億ドルまで増加すると見込んでいる。

 

 Nootropicsの原料を活用できる最も可能性があるアプリケーションが機能性ドリンクと言われている。2021年の米国機能性ドリンクの市場規模は480億ドルで、2025年には710億ドルに成長するとされている。『Red Bull』や『モンスターエナジー』などエナジー系も含まれる。「機能性ドリンクにNootropics系のハーブ原料を配合することで、市場拡大の波に乗れるのでは」と、健康食品などの調査会社CulinaryTides社の社長Suzy氏は言う。実際、米国ではここ数年、Nootropicsに該当する『NERD FOCUS』という機能性ドリンクがよく売れている。『NERDFOCUS』は、トウゲシバ、ジンセン、ビタミン、カフェインなどを配合し集中力を高めるドリンクとして、スポーツシーンをはじめ、仕事や勉強で成果を出したい時に飲用されているようだ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1755号(2023.1.4)で
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