特集【22年下期総括・化粧品受託製造】 受託市場V字回復、6割超が増収
本紙編集部では、2022年11月中旬〜12月上旬に掛けて化粧品受託製造企業約200社を対象に、取材およびアンケート調査を実施。過去最高の119社より回答を得た。2022年通期の増収企業は、昨年調査より8.3ポイント増の66.0%。2 ケタ増となった企業も同8.5ポイント増の25.0 % だった。逆に減収企業は同8.9ポイント減の17.0%で、今年の化粧品受託製造市場が総じて良好だったことがうかがえた。
2022年下期(7〜12月)の経営状況について、「良かった」と回答した企業は、昨年調査より5.2ポイント増の39.3%。「良かった」と回答した企業からは、「大口案件を受注した」「新規顧客を獲得でき、既存顧客のリピートも増えた」「取引先の売上が回復した」「得意分野の受注が増加した」などのコメントが聞かれた。コロナ禍の影響が徐々に薄れ、エステやヘアサロンなどでの集客改善、百貨店、専門店のカウンセリング販売の復調も見られる。実際、コロナ禍の影響が今年下期の業績に対し、「悪影響があった」との回答は、昨年調査より12.6ポイント減の47.0%に留まった。
2022年下期の人気受注アイテムは、昨年調査と同じくヘアケア製品がトップに。次いで美容液、化粧水、クリーム(ジェル・バーム含む)と、上位は昨年と同様の結果となった。ヘアケア分野では、新興メーカーの台頭が目覚ましく、ドラッグストア等でも1,000円を超える高単価のシャンプー・トリートメントが人気を集めている。SDGsへの関心が高まる中、ボトル容器を使用しない固形シャンプーもトレンドになりつつある。他にも、コロナ禍で入浴機会の増加や、時間を掛けて肌や髪・頭皮、全身のケアを気遣う“おこもり美容”ニーズの拡大を受け、洗い流さないトリートメントや就寝中の髪の保湿ケアなどを訴求したヘアオイル(バーム・ミスト)など、アウトバス製品の人気も伸長。ヘアケア製品のバリエーション拡大が見られる。
「受託製造市場は、まだまだ成長の余地がある」と大手企業の代表が語るように、化粧品市場には健康食品メーカー・健食通販をはじめ、アパレル、製薬メーカーなど、異業種企業の新規参入も多い。さらに日本製の化粧品を求める海外ブランドオーナーからの受注も、東南アジア圏を中心に広がっている。一方で、今後のさらなる市場回復および成長にとって懸念材料が、中国のゼロコロナ政策やロシア・ウクライナ情勢、急速な円安など社会情勢の動向だ。既に原料・資材の価格高騰や一部不足が見られるほか、光熱費や運送費の上昇も止まらない状況だ。今回の調査でも、円安の進行に対して「悪影響があった」との回答は8割を超えた。「受注量は増えたが、利益が圧迫されている」とのコメントも多く聞かれた。つづく
詳しくは健康産業新聞1754号(2022.12.21)で
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