特集【サケ由来機能性素材】 栄養素の宝庫、サステナブル性に脚光

 サケは頭から尾に至るまで、非常に栄養価が高く、「捨てる所のない魚」と呼ばれる。身には、アスタキサンチン、ビタミンD、アンセリン、皮にはⅠ型コラーゲン、鼻軟骨にはプロテオグリカン、コンドロイチン、Ⅱ型コラーゲン、白子(精巣)には核酸、プロタミン、卵巣膜にはアミノ酸、卵・脂肪にはDHA・EPA等が豊富に含まれる。

 

 サケは一般食品のみならず、健食・化粧品分野でも人気が高い。最近では日本はもとより、海外での需要が拡大している。特に東南アジア諸国では、「サケ=高級魚」のイメージが定着しており、富裕層向けの健食、化粧品素材として人気が沸騰。MLMや医家ルート等を中心にサケの市場が拡大している。腸管由来の乳酸菌、海洋性プラセンタ、鼻軟骨由来のプロテオグリカン(PG)などが好調で、2ケタ以上の伸長率を示す原料も見受けられる。こうした中、インドネシアやマレーシアなどイスラム圏向けに、ハラル認証を取得する原料メーカーも増加している。

 

 サケ卵巣膜に含まれるアミノ酸は、プラセンタやコラーゲンと類似した性質を持つ。最近では、海洋性プラセンタが、ブタやウマの胎盤を由来とするプラセンタの代替品として市場に定着。SDGs気運の高まりから、四足動物の利用に消極的な企業が増える中、健食・化粧品ともに需要が拡大している。機能性研究も進んでおり、保湿、メラニン産生抑制、コラーゲン産生能の向上といった美肌効果のほか、肝機能改善、血糖値改善、脂肪蓄積抑制、更年期障害改善などのエビデンスが蓄積。フェムケア分野での提案が活発化しているほか、機能性表示の届出を目指し、臨床試験に取り組む原料メーカーも見られる。

 

 サケ鼻軟骨由来のPGは、グルコサミンに続くジョイントサポート素材として国内で利用が広がっている。PGを関与成分とする機能性表示食品は12月14日時点で96品。この1年間で30件以上の届出が受理された。「関節軟骨の保護」「膝関節の違和感を軽減」のほかに、「肌弾力を維持」に関するヘルスクレームが見られた。鼻軟骨に含まれるⅡ型コラーゲンと複合されるケースが増えており、錠剤、サプリ、飲料、ゼリーなどの様々な剤形に活用されている。あおもりPG協議会の最新発表によると、21年9月時点での加入企業106社のPGを配合した健食・化粧品の累計出荷金額は、約374億円(前年比26%増)と伸長。ナタネ油、黒酢、ゼリー飲料、クレンジングオイル等の上市が見られた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1754号(2022.12.21)で
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