特集【ヒト幹細胞コスメ】 美容医療中心に細胞培養液の認知浸透

 本紙化粧品受託調査(化粧品受託メーカー112社回答)によると、人気素材ランキングで“幹細胞”コスメは、上半期、下半期ともに3年連続で1位に。今年開催された『健康博覧会』や『CITE Japan』、『Diet&Beuty FAIR』などの展示会でも、“幹細胞コスメ”を展示する出展社は多く、活発な製品開発が進んでいる。

 

 市場で認知される“幹細胞コスメ”は、「細胞培養液を配合したコスメ」を指し幹細胞は含有されていない。“細胞培養液”とは、幹細胞を培養した後、その幹細胞および不純物を取り除き、上澄み部分(上清:じょうせい)だけを分離した液体のことで、様々なグロスファクター(GF:細胞増殖促進因子)やサイトカイン(生理活性物質)などを含有する。最近では、細胞培養液に含まれるエクソソームへの関心が高まっている。エクソソームとは、細胞間の情報伝達に重要な役割を担う約50〜150nm程度の細胞外小胞で、グロスファクターやサイトカインとともに、幹細胞から分泌される。

 

 培養に用いられる幹細胞には、大きく分けてヒト幹細胞由来、動物幹細胞由来、植物幹細胞由来の3つがあり、ヒト幹細胞由来の中にも、脂肪由来や臍帯由来、毛乳頭由来などがある。化粧品原料では、ヒト脂肪由来幹細胞順化培養液、ヒト臍帯血細胞順化培養液、ヒト臍帯血培養上清液、ヒトサイタイ間葉細胞順化培養液、ヒトサイタイ間葉幹細胞順化培養液、ヒト臍帯由来幹細胞培養液、ヒトサイタイ血幹細胞順化培養液、ヒト繊維細胞順化培養液など、様々な“幹細胞コスメ”原料が流通。日本化粧品連合会の化粧品成分表示名称リストには幹細胞順化培養液として14件が登録されている(2022年11月現在)。

 

 サプライヤー各社では、細胞培養液の培養で求められる高度な安全性、安定性を前面に打ち出し、細胞の由来や培地、保存方法、他素材との処方組みなどの差別化が進む。細胞培養液に含まれるエクソソームについても、最終製品に表記できるよう、細胞培養液から単離し、独自原料としてラインアップするケースや、保存方法で高含有を確認するケースなど新たな差別化が見られる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1753号(2022.12.7)で
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