特集【水素】 市場規模、1.2%増の211億円に
4年連続の市場拡大も外的要因で成長率に急ブレーキ―― 。本紙が今回2022年通期の水素商材の市場動向について調査した結果、市場規模は前年比1.2%増の約211億円(メーカー出荷金額ベース)となったことが分かった。2022年の市場は昨年同様、水素商材の多くがニーズを拡大した一方、外的要因で製品開発面等に支障をきたし商機を逸するなど、ジレンマに陥った1年だった。外的要因については、①「カプセル不足」、②「中国のロックダウン」を挙げる企業が多かった。①では、大手カプセルメーカー2社による自主回収問題を受け、水素サプリメント用ハードカプセルの調達が困難になったことで、製造販売やOEM供給に支障をきたした。
②では、主要輸出先の中国が、ゼロコロナ政策に伴いロックダウンを実施。これにより輸出、中国国内での販売活動に制限が掛かった。また、水素水生成器や水素吸入器などに用いる電子基板や細かい部品は、中国で生産されているケースが多く、ロックダウンに伴い、これら部品の入手が困難となり、製品開発スケジュールに影響が出た。「新製品の発売が後倒しになっている」という声も少なくなかった。急速に進んだ円安により、部品の価格や国内の組み立て工場のコスト上昇が、利益圧迫に繋がったケースも見られた。
2022年の水素商材市場では、どのようなアイテムが売れたのか―― 。今回の取材では昨年同様、水素吸入器が好調だった。水素吸入器の市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年比7%増の推計30億円となった。特に医療機関や治療院などに導入されている業務用機種が好調で、前年比5割前後と大幅に伸長した企業も数社見られた。水素吸入器は、水素療法を受診する患者、アスリート、モデルや芸能人などがメインユーザー。有名人の配信するSNSを通じて一部の一般ユーザーにも広がりつつあるが、まだまだ認知度が低いのが現状だ。今後は一般ユーザーへの普及啓発が市場拡大の課題となる。
次いで、レンタル水素水サーバー、水素水生成器、電解水素水整水器など、家庭で水素水を作れるアイテムも好調を維持。フィットネス・スポーツ施設に設置されている業務用サーバーを介した水素水の売上も徐々に回復しつつある。経産省の統計では、今年上期(1〜6月)のフィットネスクラブの売上高・利用者数とも前年同期比2ケタ増となった。現状クラブの8割がサーバーを設置していると言われており、来期に向けては水素水の売上も再び成長軌道に乗ることが期待される。このほか、水素入浴料や水素トリートメント、水素サプリメントなども引き続き人気を継続しており、水素発生原料のサプライヤーの多くが前年維持もしくは増収を達成、前年比2倍増の大幅増収を達成した企業も数社見られた。コロナ禍での入浴機会の増加を背景に、家庭用の浴用水素水生成器も売れ行きを伸ばした。つづく
詳しくは健康産業新聞1752号(2022.11.16)で
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