【有識者に聞く】 口から始める全身のフレイル対策

 口腔領域の健康を維持することへの関心が高まっている。口腔の乱れは身体機能の低下に繋がることが指摘されている。オーラルフレイル対策の重要性が増す中、口から始めるフレイル対策について、ドライマウス研究会(https://drymouth-society.jp/)代表で鶴見大学歯学部前教授の斎藤一郎氏に話を聞いた。

 

――アクティブシニアに対してのフレイル対策は

 

 全身のフレイルは、口の老化と直結しています。噛むこと(咀嚼)、飲み込むこと(嚥下)の機能には筋力が必要。さらに潤滑油として唾液も必要ですが、口の筋肉が衰えると唾液の分泌も悪くなります。オーラルフレイル対策には、噛み応えのある食事を摂ることも大事です。1日の噛む時間が30分以下になっている人が多いと言われているなか、噛まない人は、脳の血流量が乏しくなり記憶学習能力が低下しやすいと言われています。噛むことは脳の機能維持に繋がります。

 

――コロナ禍でシニア層のフレイルの影響は

 

 噛むためには歯があることが大事ですが、国内では歯周病の対策が遅れています。口腔機能が低下し唾液の分泌が悪くなると歯周病菌が増え、歯を失うリスクが高まります。新型コロナの流行で常にマスクをしていると、表情を相手に見せる機会が減り筋力が低下します。口呼吸で唾液が蒸発し、歯周病菌も増えやすくなっています。また、シニア層が人前で話さないことによる口の周囲の筋力の衰えも課題となっています。その対策としてカラオケによるメンタルストレス緩和や口腔周囲の筋力増強が有効であることも確認されています。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1750号(2022.10.19)で
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