特集【“冷え”対策~温活サポート~】 関連商材市場、 成長続く

 健康・美容のために日常的に身体を温める“温活”というライフスタイルが近年、女性層を中心に人気を集めている。(一社)よもぎ温熱セラピー協会が今年6 月、20~59歳の女性1,000人を対象に実施した調査によると、「温活」の認知度は69.9%と、多くの女性にとって、温活が身近なものとなっていることがうかがえる。さらに、最近では女性特有の悩みをケアする「フェムケア」分野が話題を集めており、温活もまた同分野と親和性が高く、“フェムケア温活”といったワードも生まれている。

 

 身体を温めることによるメリットは、血行促進に伴う冷え症状の改善はもちろん、深部体温を上昇させ免疫力や自然治癒力、基礎代謝の向上、ストレスケアや快眠サポート、発汗に伴う体内に溜まった老廃物のデトックス作用、さらに肥満やセルライト、むくみ、シミ・シワ、髪のパサツキの改善などの美容・エイジングケア効果――など、数え上げればきりがない。他にも最近では、体内の血行を促進することで関節の可動域が高まる、脳内の血流を改善して認知機能が向上するなどのデータも発表されており、未病や予防介護対策としても身体を温めることが注目されている。

 

 また、「ヒートショックプロテイン(HSP)」への関心も高まっている。HSPとは、熱ショックタンパク質とも呼ばれ、入浴など全身加温によって体内に増加するタンパク質のこと。HSPには傷付いた細胞の修復、ストレスから細胞を守る、白血球(リンパ球)の増加やNK細胞の活性化――など、様々な生理作用が確認されている。ハードな運動を行うアスリートは、体内の活性酸素量が増加し、細胞や組織にダメージを負うケースが多いことから、以前からコンディショニングやボディメンテナンスの分野で、温熱ドームなどHSPを増やす機器類などを用いて全身加温を実践してきた。最近では家庭でも手軽に体内のHSPを増やせる入浴方法などが、メディアでも紹介され、注目が高まっている。

 

 「温活」の認知度向上を受け、冷え対策や温活サポート商材市場も好調な動きを見せている。現在市場に流通する関連商材は、家庭用医療機器や健康機器、入浴剤などの「Non-Foods(ノンフーズ)商材」と、ショウガやヒハツ、高麗人参などの温感・血流促進に有効な食品素材を配合したサプリメントや機能性表示食品、加工食品などの「Foods(フーズ)商材」に二分される。Non-Foods分野では、厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、血行促進や血流改善、温熱効果などが認められた家庭用医療機器の2021年の市場規模は、国内出荷金額ベースで約666億円(前年比104.7%)、浴用剤(薬用入浴剤)は約627億円(同100%)となっている。また経済産業省の生産動態統計によると、2021年の浴用化粧品(ひげそり用を含む)の国内出荷金額は約98億円(同98%)。同分野だけで約1,391億円(同101.9%)となっている。ここに温熱ドームや足温器などの温熱機器類、人工炭酸泉製造装置や水素浴装置などの浴用装置類、さらにヒートテックに代表される温感衣料品類、腹巻や重ね履き靴下などの雑貨類加えると、ノンフーズ分野だけでも優に1,500億円を超えると予想される。

 

 Foods分野では、本紙調査で高麗人参やショウガ、ニンニクなど、身体を温めるサプリメントや加工食品の市場規模は600億円に迫っている。また同分野では、「冷えによる末梢(手)の皮膚表面温度の低下を軽減する」「低温環境下で末梢部位の体温を維持する」など、冷えや体温を訴求する機能性表示食品の届出も活発に行われている。ヒハツ由来ピペリンやモノグルコシルヘスペリジン、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)、カメリアサポニンB2などを関与成分とした機能性表示食品は10月13日現在、約170品(撤回を除く)が受理されており、昨年同時期との比較で約50品増加した。なかには血圧や体脂肪、睡眠の質など、他の関与成分と組み合わせによるW表示で受理されている製品も見られる。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1750号(2022.10.19)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら