特集【毛髪・頭皮ケア】 入浴機会増加で、製品バリエーション拡大

 コロナ禍で在宅勤務が定着したことで、入浴に時間を掛ける人が増えている。日本浴用剤工業会が昨春1,668人に行なったアンケート調査では、約15%が入浴の時間・回数や湯舟に浸かる頻度が増えたと回答。毛髪や頭皮のケアに時間を掛ける機会が増えたことで、シャンプー、トリートメントのほか、ヘアミスト、ヘアオイル等のアウトバス製品の需要が高まっている。今年1~6月の生産動態統計によると、染毛料を除く頭髪用化粧品の出荷金額は約1,180億円(前年同期比7%減)。市場全体の7割弱を占めるシャンプー・トリートメントの売上は675億円(同12%減)と減少した一方で、アウトバス製品を含む「ヘアクリーム・香油」は60億円(同5%増)と伸長している。出荷金額ベースでは、シャンプー・トリートメントなどは前年比を下回っているものの、本紙が5~6月に実施した化粧品受託メーカーへの調査(有効回答112社)では、人気受注アイテムとしてヘアケア製品(シャンプー・トリートメント等)が39票を獲得。ヘアミストやヘアオイル、ヘアバームなどアウトバス製品の好調を挙げる受託メーカーのコメントが多く見られた。

 

 ヘアケア市場では2015年に発売された『BOTANIST』のヒット以降、一貫して植物由来成分がトレンドだ。30~40代女性を中心にツボクサ、オリーブ、ツバキ、ヒマワリなどを用いたボタニカルシャンプーが根強い人気を獲得。フィトケミカルの処方も多く、サプリ分野で市場が拡大するCBDの活用も広がっている。フノリやモズクなどの海藻類、スギやヒノキを由来とするフミン酸、タモギダケや冬虫夏草に含まれるアミノ酸、植物由来のフラーレンなどの原料提案も活発化している。また、頭皮への刺激の少ないアミノ酸シャンプーの人気も根強い。髪の構成成分の9割はタンパク質であり、アラニン、グルタミン酸、グリシン、タウリン等を増強し、「髪のためのプロテイン」「サプリシャンプー」などの訴求も見受けられる。今年に入り、羊毛由来のケラチンやラノリンの提案を強化する動きも。動物由来成分でありながら、使用感の高さから徐々に引き合いを伸ばしており、「髪由来の成分で髪を洗う」というようなユニークな提案を行うOEMメーカーも見られる。

 

 アイテム別では、「固形シャンプー(シャンプーバー)」にブームの兆しが見られる。オーソドックスな液体シャンプーと比べて、製造工程における水の使用量や二酸化炭素の排出量、プラボトルの削減に繋がることから、SDGsの観点で注目される。ニュージーランドのエティーク社が火付けとなり、現在はニベア、ロクシタン、ラッシュなど海外ブランドが相次いで製品を投入している。国内でも老舗石鹸メーカーからシャンプーバーが上市されており、同分野を得意とする化粧品OEMメーカーには、製造依頼が殺到しているという。定番の液体シャンプーに取って代わることは考え辛いが、ヘアケア製品の新ジャンルとして今後の市場形成が見込まれている。つづく

 

 

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