ZOOM UP【β-グルカン】 イミューンヘルスで脚光、 世界市場6億ドル規模へ
新型コロナウイルスが中国武漢で発見されてから、丸3年が経とうしているが、未だその収束が見通せない状況にある。こうしたコロナ禍で世界的にサプリメントの利用は拡大傾向にあり、特に免疫領域のサプリメントへの利用が拡大しているようだ。米国調査会社NBJが発表した2020年の米国サプリメントビジネスレポートによると、免疫に関連した製品は前年比9.3%と大きく成長しているという。特に米国では免疫に関するヘルスクレームが早くから実現しており、“イミューンヘルス”として一定の認知がされている。なかでも酵母由来β–グルカンは免疫賦活素材成分として知られ、欧米では非常にポピュラーな成分となっている。
β–グルカンは、グルコース分子がグルコシド結合で重合した多糖類をグルカンと呼び、結合の仕方によってα–グルカンやβ–グルカンと分類される。酵母やカビ類に含まれるβ–グルカンは主鎖1に分岐3の分子構造を持つβ1–3グルカンと呼ばれ、1–6グルコシド結合による側鎖が形成されているのが特長。体内のマクロファージや樹状細胞をはじめとした抗原提示細胞の膜表面にはβ–グルカン受容体が存在しており、β–グルカンを摂取することで、受容体と結合し免疫賦活作用が期待できることがわかっている。酵母由来β–グルカン(β–1,3/1,6グルカン)は、1940年代にパン酵母の細胞壁から発見された。60年代初頭から免疫システムに関する多くの有効性データが発表されたのを皮切りに、生体防御機能や腸管免疫機能に関連する多くの研究成果が発表されてきた。関連する化学レポートは週に50本以上ともいわれるなど、天然の免疫調節物質としてのエビデンスはトップクラスを誇る。
調査会社グローバルインフォメーションが発表した市場調査レポート「ベータグルカンの世界市場」によると、食品や飲料、パーソナルケア、医薬品、栄養補助食品、動物飼料用途でのβ–グルカンの世界市場規模は2020年時点で4億380万米ドルとしており、年成長率7.6%で伸長。2026年には6億2,830万米ドルに達すると予測している。レポートでは「より健康的な代替品への需要の高まりと、健康的な食材への消費者の嗜好の変化がβ–グルカンの需要と市場の成長を促進すると考えられる」と分析する。現在、新型コロナウイルスの感染拡大下で再び免疫に高い関心が寄せられていることから、市場拡大は必至といえそうだ。つづく
詳しくは健康産業新聞1747号(2022.9.7)で
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