特集【慢性炎症対策】 全身に飛び火する炎症、 メンタル・フェムケア領域にも関与

 「疲れやすい」「やる気が起こらない」、こうした状態に慢性炎症が関与している可能性が分かってきた。ストレス社会といわれる現代において、疾患ともとれないこのような症状だが、特にここ数年のコロナ禍で心身の不調として同様の状況に陥る人は増加傾向にある。これらは、脳内で起きた炎症によって炎症が起こっている脳部位での脳機能が低下し、認知機能低下や抑うつなどの神経症状を引き起こすという。ストレスを受けると生体内で炎症性サイトカインを誘導することがわかっており、慢性炎症性疾患の患者では、うつ病の併発率が高いことが報告されている。慢性炎症とうつ病の因果関係については解明されていないものの、こうした状況が進展すると、正常な社会生活が送れなくなる慢性疲労症候群を引き起こすともいわれている。

 

 慢性炎症とは、本来一過性にとどまる炎症反応が、弱い状態でくすぶり続け、歯止めが効かない状態に突入する状態を指す。痛みなどの自覚症状が無いまま進行していくため、種々の疾患の発症や悪化につながる要因として近年重要視される病態基盤だ。欧米では“そっと忍び寄る殺し屋”を意味するサイレントキラーとも呼ばれている。本来炎症は生体防御機能として重要な役割を果たすが、長期にわたってくすぶり続ける炎症反応は疾患を誘発、増悪させるなどの弊害を及ぼす。この長期にわたって続く炎症が慢性炎症で、炎症反応である病原体の攻撃後も、何らかの要因で活性酸素が放出され続け、正常な細胞を破壊。生活習慣病や認知症など多くの疾患の発症や促進につながる誤った生理反応を起こしてしまう。慢性炎症の対策は目下急務の課題となっている。つづく

 

 

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