特集【関西受託ガイド】 受託+αで多様化するニーズに対応

 本紙が実施した2022年上半期の健食受託市場調査によると、関西の2府2県(大阪、京都、兵庫、奈良の計25社)の上期の売上増減率は76%が伸長、下期見通しでは、92%が増収見込みという結果に。増収を見込む企業からは、「嗜好品、健康食品ともに受注が好調」「受注数量がアップした」「コロナ禍で消費者の健康志向への関心の高まりとともに購買意欲が向上している」「TVショッピングなど通販向けで顧客が増えた」との声がある一方、「原料の値上げによる価格変更に伴い、販社の受注数が鈍化」「受託案件に回復の兆しがあるものの、コロナ前の水準にはまだ届かない」などの回答が見られた。

 

 受注好調な背景には、差別化原料の開発や、設備増強含む製造技術、機能性表示食品の届出支援やOEM供給、販売・卸などの出口戦略サポート、越境EC含む海外案件対応といった、「受託+α」の取り組みがある。受託メーカーの差別化原料には、「長命草(ボタンボウフウ)」「シマアザミ」「クーガイモ」「マスティハ」「クロレラ抽出物」「シルク酵素分解物」などが見られ、エビデンスの拡充や、原料の希少性、ストーリー性のアピール、ペット向けへの新提案など、サプリメントの新たな需要創出に向けた取り組みが進んでいる。

 

 関西受託メーカーの受注が増えている剤形の上位は「粉末」「錠剤」「ドリンク」の順。「粉末」については、原料特性を生かした殺菌方法で植物の特性を最大限に引き出す受託加工により、数十種類におよぶ国産野菜の提案も見られ、健康食品だけでなく、医薬品や漢方、一般食品まで幅広い分野で採用されている。原料の加工・栽培技術の提供や有効資源の活用など、地域産業の振興と経済活性化に繋げている受託メーカーもある。「錠剤」では、特殊錠剤の製造も可能な、約半世紀にわたって手掛ける専業受託メーカーが活躍。青汁で機能性表示食品の届出が受理され、OEMを強化している。

 

 「ドリンク」では、コロナ禍で停滞していた飲料案件の再開や、製薬メーカーからの新規案件などが堅調に推移。素材としては、「乳酸菌」「コラーゲン」「青汁素材」などが受注上位にランクインしており、ゼリードリンクの開発や、高濃度配合技術、粉末の殺菌技術と風味の安定したエキス製造など、受託メーカーによる“+α”がアドバンテージになっている。新たなトレンドとしては、使い切りタイプの容器成型同時充填や、アルミパウチ充填などの需要も増加している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1747号(2022.9.7)で
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