連載【はじめての越境EC⑯】〈オーストラリア編〉後払い決済(BNPL)が普及、若年層の利用拡大

 オーストラリアは人口約2,570万人で、日本の約5分の1だが、日本の約21倍の国土面積を有する。国土が広いことからECの利用が普及し、EC利用率は人口の約7割。EC市場は約466億8,000万ドル(2022年・推計)となっている。EC市場は年4.1%の成長が予測され、2025年までに693億5,000万米ドルに達する(Statista)と予測される。有力な成長市場であるにも関わらず、日本ブランドの参入は比較的少ないため、新規参入先として期待が高まる。

 

 オーストラリアの主要ECサイトは、「eBay」と「Amazon」の2強が市場を牽引し、次いでオーストラリア発のマーケットプレイス「Kogan」や「Catch」が利用される。またオーストラリアでは、自国の小売業者のオンラインショッピングの人気が高いことが特徴で「Woolworths」「Coles」等が利用されている。越境EC利用率は約63%と高く、購入先は多い順にアメリカ(44%)、中国(32%)、イギリス(22%)となっている(PayPal調べ)。越境ECサポート事業を行うデジタルスタジオによると、「オーストラリアは、北米や欧州に続いて重要なEC市場」だという。オーストラリアのEC市場は規模が大きく、1人当たり名目GDPは6万3,529米ドル、約808万円(2021年)と所得が高い国であるため、高価格帯の健康食品、化粧品にも費用を掛ける消費者が多い。

 

 オーストラリアにはキッコーマン、グリコ、明治、UHA味覚糖はじめ、健康食品に関連する日本企業が越境ECで進出しているが、中国市場や東南アジア市場と比較して企業数は少なく、これから日本ブランドとして新規参入するチャンスは大きい。オーストラリアへの越境ECでの注意点としては、送料の高さが挙げられる。国土が広く、航空便を使用することが多くなる上、Fedex、DHCといった大手流通企業の支店がない地域では、現地配送会社に委託する費用が発生する。また、オーストラリアのECの特徴として「BNPL(Buy Now Pay Later、後払い)の人気が高いことが挙げられ、決済方法として導入するか検討が必要となる。BNPLは購入後1~4回等で後払いする決済方法で、20~30代の若年層の利用が特に進んでいる。審査が緩やかであるため「分割払いで気軽に購入する手段」として、また「商品を確認してから支払いたい」というニーズから普及が進んでいる。つづく

 

詳しくは健康産業新聞1747号(2022.9.7)で
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