特集【α-GPC/HMB】 Withコロナで注目の2成分

 インテージ社が調査した「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ+セルフケア市場実態把握レポート」の2021年度最新版によると、HMB市場は30億円と報告。対前年比で横ばい推移だが、潜在市場は72億円と分析しており、今後の利用拡大に期待がかかる。メインユーザーは20~40代の男性で、利用目的の1位は「筋肉強化」(30%)でトップ。2位の「体力の増強・減退対策」(9%)に大きく水をあけている。今後、ロコモフレイル対策として中高年での利用促進が市場拡大の大きなポイントとなりそうだ。

 

 そのカギを握るのが、機能性表示食品への拡大。HMBを関与成分とした受理数は64品。関与成分をHMB-Caに変更後の受理品数は45品にのぼる。ここ数年は受理品の伸びが緩やかだったが、コロナ禍での筋力低下を背景に、再び商品開発が活発になりつつある。今年6月には、ワダカルシウム製薬が「自分の足でいつまでも歩いて欲しい」と願いを込めた「アルークα」シリーズから、『アルークα筋力マスター』をリニューアル発売。また、7月には健康食品通販のえがおが、ロコモ対策商品をリニューアルした『えがお 歩く筋力サポート』を発売した。HMB-Caを関与成分に「年齢とともに衰える筋力の維持・低下抑制に役立つ」旨を表示し、新たな顧客獲得を狙う。下半期に向け、さらに新たな商品発売の動きもあり、機能性表示食品での利用拡大が期待される。

 

 HMB(3–ヒドロキシ–3–メチルブチレート)は、必須アミノ酸ロイシンの代謝産物。筋タンパクの合成促進や筋タンパクの分解抑制、筋細胞の細胞膜の安定化の機能が確認されており、米国ではいち早くスポーツニュートリション分野でサプリメントが流通するなど、アスリートやボディビルダーといったコア層から支持されてきた。日本国内では食薬区分改正以降、ごく限られた一部での利用に留まっていたが、ボディメイクを目的としたサプリメントが大ヒットしたことで認知度を押し上げた。2016年にはHMBを関与成分とした機能性表示食品として受理され「筋肉量や筋力の維持」の表示が可能に。現在、ロコモやサルコペニア、フレイル対策としての利用が進んでいる。国内HMB–Caのトップメーカー、小林香料では中高年層における筋肉ケアの需要性を提唱しており、機能性表示食品の利用促進を軸にHMB-Caの普及拡大に力を入れている。

 

 α–GPC(グリセリルホスホリルコリン)は、母乳などに含まれる栄養成分で、細胞膜の構成と補修に不可欠なコリンの補給元として世界的に知られている。コリンは生体中に存在しながらも肝臓以外の臓器ではほとんど合成できないため、食事から補給する必要がある。すでに米国では水溶性ビタミンとして必須栄養素に指定されている米国農務省(USDA)は摂取推奨量として成人男性で 1日550mg、成人女子では425mgと設定している。こうした状況を背景にスポットを浴びているのがα-GPCだ。海外のリサーチ会社の調査では、コリン補給剤として利用されるα -GPC の世界市場規模は、2015年の約8億ドルから、2027年には13億ドルに成長すると試算されるなど、世界的に注目の成分となっている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1745号(2022.8.3)で
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