夏季特別号【特定保健用食品】 上期許可件数は僅か5品、存在感薄れ停滞続く市場

 昨年のトクホ表示許可件数は16品。2017年以降、年間の表示許可件数は50品を下回る。今年もこれまでの表示許可件数は僅か5品。表示内容が決められていることや、表示許可までに掛かるコストの高さ、時間の長さなどからトクホ開発が低迷している。健康食品産業協議会が6月に公表した事業者実態調査では、今後の商品開発・販売における優先順位を聞いたところ、1位は機能性表示食品で、トクホは3位だった。消費者庁が6月に公表した「食品表示に関する消費者意向調査」でも、トクホを「どのようなものか知っている」割合は、前回調査(30.7%)より減少して27.0%だった。食品CROや販売メーカーからは、「既存トクホメーカー以外からの臨床試験の新規案件が出てこない」「トクホは、健康機能や安全性は国が審査しているので信頼性は高い。一方、申請から発売まで時間が掛かり、市場ニーズに合った商品開発に限界がある」「既存トクホを終売し、機能性表示食品として販売する戦略に切り替えている」などのほか、トクホ制度全般にわたる見直しを指摘する意見も聞かれた。

 

 こうした中、消費者庁は今年6月に、「特定保健用食品の表示許可等について」の一部改正案を公表した。同庁では昨年、疾病リスク低減表示に関する運用の方向性を公表しており、これを踏まえ、カルシウムと葉酸の疾病リスク低減表示に関しては、現行の語尾にある「かもしれません」表示を「可能性があります」表示に変更する。また、「う蝕に係る疾病リスク低減表示」の申請を行うための考え方を提示。「申請食品は、発酵性糖質を含まず、主に間食として利用される食品であること」など、申請のための考え方を示した。規格基準型トクホでは、「難消化性デキストリン」を対象に、複数の保健の用途を表示することができる区分を新設する。このほか、申請手続きの円滑化、許可等に伴う負担軽減のための改正も行う。意見募集を終えており、8~9月をめどに通知改正を目指す。事業者からは、「この程度では、脱トクホの流れは止まらない」「疾病リスク低減トクホの運用拡大は、対象関与成分を拡充しないと期待できない」など厳しい意見も出ている。つづく

 

 

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