夏季特別号【無店舗販売ルート】 コロナ状況改善に伴い、通販需要に一服感
本紙推計の2021年の健食通販の市場規模は約5,650億円(前年比4.1%)。コロナ禍の外出自粛、在宅での購買ニーズ、健康意識の高まりなどが追い風となり、2014年から7年連続で拡大。Eコマースを主とする通販チャネルは、依然として、健康食品市場を牽引している。成長が続く健食通販市場だが、今年上期は、コロナの収束傾向に加えて、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価・原料費の高騰の影響、慢性的な海上コンテナ船の不足などが影響し、苦戦を強いられた企業も少なくない。日本通信販売協会が7月4日に発表した2022年5月の通販売上調査結果では、会員企業120社の総売上高は、約1,153億円(前年同期比4.4%減)。健康食品も約133億円(同2.0%減)となり、4ヵ月連続の減少となった。
インターネット、SNSが普及した現在、健食通販の広告手法は非常に多様化している。テレビ、カタログ、新聞など従来の広告手法から、リスティング、ディスプレイ型のインターネット広告が登場。現在は、成果報酬型のアフィリエイト広告を利用する企業が増えている。アフィリエイト広告は、広告主がWEBやSNSを運営するアフィリエイターに広告掲載を依頼し、閲覧者の商品購入に応じて報酬を支払う広告手法。矢野経済研究所が3月に発表した2021年度の国内アフィリエイト市場規模は、約3,940億円(前年度比8.4%増)。2018年度から4年連続での成長となり、2025年度には5,000億円を超える見込みだ。一方で、報酬を増やすためにアフィリエイターが誇大広告を掲載するケースや、広告内容が口コミやレビューと区別されておらず消費者を混乱させているという課題も。
消費者庁は今年2月、「アフィリエイト広告等に関する検討会」の報告書を公開。アフィリエイト広告の責任主体は広告主であること、不当表示未然防止策として広告である旨を明記すること、悪質な事業者に対する景表法・特商法など各種法規の適用方針を示した。さらに6月29日には、事業者に求める景品類の提供や表示の管理上の措置における指針として、広告主がアフィリエイト広告の事前チェックを行うこと等を定めた。明確なルールが設定されたことで、アフィリエイト広告の運用が適正化すると歓迎する声がある一方で、「広告主への負担が大きく、利用するメリットが薄れる」「アフィリエイト市場は縮小すると見られ、別の広告手法を検討する企業が増える」という声も聞かれている。
こうした中、新たに広告手法をして注目されているのがライブコマースだ。SNS上でのライブ配信を通して、視聴者とのコミュニケーションを図りながら、製品やサービスを販売する手法。ネット販売でありながら実店舗のように、リアルタイムで顧客の不安を解消し商品購入に繋げられるメリットがある。コロナ禍でライブ配信を視聴する人は増加しており、ライブコマースの知名度が43%まで増加したという民間調査データも。既に複数の大手通販メーカーの参入も進んでおり、「ライブは編集ができない分、配信者の感情がそのまま伝わるため、信頼関係を築きやすい」「視聴者のコメントに回答することで、商品への不安をすぐに解消できる点も魅力的だ」などの声も。健康食品の新たな販売手法として注目を集めている。
【訪販・MLM】 コロナ収束で一転、攻勢へ リアル・オンラインの融合進む
コロナ禍で強烈な逆風が吹いた訪販・MLM市場。対面での営業活動、大規模イベントの実施が大幅に制限され、2021年度の健康食品の売上規模は、2,910億円(前年比9%減)となり、3,000億円を割り込んだ。一方でZoom、Teamsなどを活用したリモート営業、オンラインイベントを積極的に打ち出し、難局を乗り切る企業も。コロナで収入が減少した人が、副業としてネットワークビジネスを始めるケースも少なくない。リアルとオンラインを融合し、会員の若返りに成功したMLM企業も見られる。さらに今年上期は、コロナ感染状況に改善が見られ、大規模な表彰イベント、報酬としての海外旅行などを再開する企業も増加。日本アムウェイ、フォーデイズ、ニナファームジャポン、シナジーワールドワイドジャパンなどが増収を達成した。つづく
詳しくは健康産業新聞1744号 夏季特別号(2022.7.20)で
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