夏季特別号【海外情報】 ビタミン等「ベースサプリ」回帰、世界的トレンドに

 パンデミックによって急増した免疫サポートサプリやビタミンC、Dといったベースサプリはブームに留まらず利用が習慣化。需要が高止まりしている。コロナ禍が長引く中、抗ストレス、リラックス、エイジングケアといった機能性がより求められ、パンデミック前には市場成長が停滞していた「ビタミン」「ハーブ」といったベースサプリの需要が再燃している。世界的に消費者の健康志向が上昇する中、プロテインはじめ「植物性」素材がキーワードとなっている。

 

 英国の調査会社ユーロモニターインターナショナルによると、2021年における世界のビタミン・栄養補助食品の売上は1,257億ドルとなり、前年比8.7%増となった。国別に見ていくと、多い順にアメリカが331億ドル(昨年比1.8%減)、中国が287億ドル(同14.8%増)、日本が118億ドル(同3.5%増)となった。米国はじめ世界的なインフレによる消費停滞の影響がみられるものの、中国市場はロックダウン解除による揺り戻しや、増加する中間層による消費拡大等の影響で成長し、世界市場の底上げに貢献した。

 

 新型コロナ禍が2年以上に長期化した2022年上半期には、免疫サプリの利用は「習慣化」し、米国、中国、日本はじめ多くの国で需要が高止まりしている。これまでにもSARSの流行等で免疫サプリのブームがあったが、短期間でブームは収束した。しかし、今回の新型コロナのパンデミックは長期化しており、下半期も免疫サプリの需要は継続しそうだ。また、パンデミック前までは市場成長が停滞していた「ビタミン」「ハーブ・植物」といったベースサプリの需要は、現在では世界的に成長が続く。ビタミンD欠乏と新型コロナ感染症の重症化の関連性等が知られるようになり、ビタミン類への高い需要は当面、継続が予想される。

 

 また、米国において「ハーブ・植物」カテゴリーの成長も著しい。2021年は123億5,000万ドル市場となり、2017年と比較して1.5倍までに成長した。ハーブ・植物市場の急成長の理由についてインフォーマグループの米国業界誌NBJのBill Giebler氏は、「消費者が、従来のヘルスケア製品に満足しなくなり、天然製品による代替医療にますます興味を持つようになったのではないか」としている。

 

 米国では、インフォーマグループが主催する「Natural Products Expo West」が3月8~12日、カリフォルニア州・アナハイムで開催された。米国のトレンドを映す同展示会では「植物性」が大きなテーマとなった。植物性プロテイン、植物性のみ配合のヴィーガンサプリ等が注目された。また、液体で摂取しやすい「スクイーズパック」のビタミン類、オメガ3をはじめとした製品がトレンドとなった。スイス・ジュネーブでは、インフォーマグループが主催する「Vitafoods Europe」が5月10~12日に開催された。EUのトレンドを映す同展示会では、特にコロナ後のメンタルヘルスの重要性に注目が集まった。腸内環境の健康を訴求する素材や製品にも注目が集った。メンタルヘルスに向けたCBDとメラトニンを配合したサプリや、チュアブルタイプの乳酸菌サプリはじめ新製品の発表も盛んだったため今後のEUのトレンドとなりそうだ。つづく

 

 

 

詳しくは健康産業新聞1744号 夏季特別号(2022.7.20)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら