夏季特別号【行政動向】 相次ぐ表示規制 機能性表示食品で改善指導も
【トピック①】 「切り出し表示」等で改善指導
今年上半期、業界が騒然となった行政トピック(全⑤)のひとつが、消費者庁が3月31日に発表した、認知機能対応の機能性表示食品のネット広告への改善指導。医薬品的効果効能が得られるかのような表示があったとして、3事業者の3品に改善指導を行うとともに、表示が届出範囲を逸脱していたとして112事業者の128品に改善を指導した。景品表示法・健康増進法に基づく改善指導を行った3事業者の広告では、「認知症予防の救世主〇〇大学教授監修」「認知症は早めに対策すれば発症や悪化を防げる」などの表示があり、「物忘れや認知症の治療又は予防効果等の医薬品的効果効能が得られるかのような表示」とみなした。
また、届出表示が「空間認知能や場所を理解するといった記憶力を維持する機能があることが報告されています」と限定されているもので、一部を切り出して「記憶力維持!」と強調する表示に対し、「届出された機能性の範囲を逸脱した表示」と判断した。今回の措置は、2020年3月に示された「事後チェック指針」に基づくもの。同指針では、届出表示の一部を切り出して強調することで、届出された機能性の範囲を逸脱した表示を行う場合、景品表示法上問題となるおそれがあるとしている。認知症予防といった行き過ぎたネット広告表示への規制には理解を示す声が挙がる中、多くの事業者はルールを守るべく動いており、「切り出し表示について、事例やガイドライン的なものが欲しい」といった要望が複数の販売メーカーから挙がっている。
【トピック②】「景表法検討会」発足 年内報告書 「ステマ」「ダークパターン」など議論
消費者庁は景品表示法について、2014年の改正から一定期間が経過し、デジタル化の進展など社会環境の変化を踏まえた必要な措置を議論するため、「景品表示法検討会」(座長:神戸大学大学院法学研究科教授、中川丈久氏)を設置し議論を始めた。3月に初会合を開催、これまでに4回の検討を実施。1962年の法制定時にインターネットはなかったが、ウェブサイトの表示を不当表示と認定するケースが増加していることなどが指摘されている。最近の定期購入トラブルでは、商品購入後にしか表示されない広告があり、同じ広告を表示させるためには商品を購入しなければならず、広告を再現するためのハードルが高くなっていることも報告された。有識者ヒアリングを踏まえて6月23日に行われた第4回会合で、「今後の検討の方向性」として、①効率的かつ重点的な法執行の実現、②デジタル化等の社会状況の変化への対応、③消費者利益の回復の充実――の3点が示された。つづく
詳しくは健康産業新聞1744号 夏季特別号(2022.7.20)で
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