特集【フェムケア・フェムテック】 「性差」視点の商品開発で新規需要創出

 女性の健康をサポートするフェムテックの社会的、経済的重要性は政府も認識し、具体的な事業が動いている。 2022年6月には、「女性活躍・男女共同参画の重点方針」(女性版骨太の方針2022)が政府決定された。方針では、「研究・技術開発に多様な視点を取り入れていくことは、ジェンダード・イノベーションの創出にも繋がり、重要である」と明言する。さらに、経済産業省では、「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」事業を実施。2022年度は、6月に19事業が採択された。採択された事業は、AIサービス、ヘルスリテラシー向上、生理用品の設置事業など様々。経済産業省経済産業政策局の担当者は、「既存の事業やサービスも見直すことで、これからフェムテックの分野として注目される企業になるのではと考えている」と話している。フェムテックの市場規模は世界で186億ドル(Report Ocean, 2020)と言われ、さらに成長が期待される。

 

 素材や製品を性差の視点で分析し、フェムテック製品として提案することで、新たな需要が創出される例が増えている。マカの例では、当初は男性向け素材として商品開発が進んだが、女性のホルモンバランスへのエビデンス研究を行うことで、需要が喚起され多くのフェムテック製品が生み出されている。サンライフは健食の定番素材であるクロレラを新たに「フェムケアクロレラ」として提案。妊婦に必要な栄養素である葉酸を豊富に含み、妊活ケア向けに拡販していくという。ローヤルゼリーも、女性ホルモン様の働きを持つ成分が含まれることが研究され、ゆらぎ期対策サプリへの活用も進んでいる。また、『プレグナ』(メニコン)のように男性用、女性用、共通、それぞれの妊娠サポートサプリを開発する例もある。さらに、フェムテックをプロモーションに活用する例も増えている。大塚製薬は「飲むフェムテック」として、サプリメントを積極的にプロモーションする。また、明治は7月より新たに『フェムニケアフード』ブランドを立ち上げた。

 

 フェムテックは販売チャネルの拡大も期待される。百貨店やショッピングモールでの期間限定店のオープンが相次ぐ。2022年3~4月に銀座三越、同5月には大丸梅田店でオープン。3月より埼玉県越谷市のイオンレイクタウンkazeに期間限定店「byeASU」がオープン。約20社が出店し、6月からは「より広範囲の女性に利用して貰うために」(双日・広報担当者)ECも開始した。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1744号(2022.7.20)で
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