特集【医家向けサプリメント】 医療機関でのサプリ販売2ケタ増
2014年8月に厚労省が閣議決定した「医療機関におけるコンタクトレンズ等の医療機器やサプリメント等の食品販売について」以降、いわゆるドクターズサプリメントが浸透し始めた。かつて医師は、「サプリメントは治すものではない」と使用を避けていた。まだその考えは残っているものの、「医療費による国家財政の逼迫」「サプリメントメーカーによるエビデンスの蓄積」「先進国の事例」を要因に医療機関では、未病に取り組む動きが進んでいる。
ここ数年で、新たに医療機関へ向けてサプリメントを製造・販売するメーカーも台頭してきた。24ヵ国の各医療機関に販売実績を持ち、グローバルで展開するメタジェニックスは、2020年より日本で事業を開始。米国のサプリメント製造・販売ノウハウを日本の医療へフィードバックし、未病に貢献していくとしている。今年6月にはMeiji SeikaファルマがEPAを主原料とした『メイキュア』を発売、精神科を中心に医療機関へ案内を始めた。富士経済によると医家向けサプリメントの2021年の市場は206億円となり、2019年の187億から15%以上伸長すると予想している。
厚生労働省の統計によると令和2 年の国民医療費は43.2兆円。前年より1兆4,000億円下がった。コロナ禍による診療控えが要因だが、医療費負担の限界は依然として課題となっている。保険診療でカバーできる診察は限られており、国民の自由診療の見方も変わりつつある。自由診療のクリニックにとっては提案の幅が広がっている。日本オーソモレキュラー医学会の柳澤会長は、「日本の保険診療費について医師であれば誰もが危機感を持っている。10年前と比べるとサプリや栄養療法に対する考えが格段に変わった。まだメジャーな分野ではないが、慢性的な体調不良や未病など薬以外で健康になる方法が見直されている」と話す。国立長寿医療研究センターの松井医師は高齢者のビタミンD不足を危惧。「ビタミンD不足には日光浴が必要だが、難しい場合はサプリメントから摂取することも有用だ」とコメント。同センター外来では、「今後、患者に対して食事で補えない栄養素はサプリメントを勧めることも検討している」とのこと。
医療機関でのサプリメントの販売方法は、待合室での対面販売、診察で医師が患者に説明し、その後患者自身が専用サイトで購入するパターン、また電話で患者が注文する方法などがある。後者2つは販売メーカーが直接患者に郵送する方法をとっているため、クリニックは在庫を持たずに販売できるなどのメリットもある。つづく
詳しくは健康産業新聞1744号(2022.7.20)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら