【話題追跡】 話題先行のSDGs、問題の本質はどこ?

 ここ数年、SDGsという言葉を良く耳にするようになった。環境問題や経済、健康、貧困などの課題に対して、国や地域の垣根を越えて、取り組もうという考え方だ。欧米では、既に一般消費者レベルまで浸透しており、SDGsへの貢献度が、商品購入の基準や企業間取引の前提になる国もあるという。日本では2020年頃からテレビ、新聞、ビジネス誌、週刊誌などがこぞってSDGsを取り上げるようになり、今年1月に電通が10〜70代の男女1,400人を対象とした調査では、SDGsの認知率は8割強となった。特に25歳以下のいわゆるZ世代の認知度が高く、商品を購入する上でSDGsへの取組み度を考慮する人も。業種を問わずSDGsへの貢献を掲げる企業が一気に増えている。

 

 本紙が6月に健食受託製造企業132社から回答を得たアンケート調査では、SDGsに取り組んでいる企業は41%で、昨年12月から16ポイント増加した。検討中・準備中も含めると8割強の企業がSDGsに前向きという結果になった。具体的な取組内容としては、プラスチックの削減、バイオマス素材の包装資材導入、フェアトレードの徹底、原料を生産する発展途上国への寄付、工場のクリーンエネルギー化、CO2排出削減などが見られた。
 

 一方で、日本全体では取組幅が限定的という指摘も。特に「フードロス問題/食料廃棄量の多さ」に対しては、風当たりが強い。農水省によると、日本の2019年度のフードロス量は約570万t。これは、国連やユニセフ等の食料援助量の約1.4倍に相当する数字だ。本紙の取材では、「クリーンエネルギーの使用は結構なことだが、まずは大量生産、大量廃棄型の社会構造を改めるべきでは」(健食通販)、「飲食店やスーパーと提携し、廃棄される食材を有効に活用するべき」(原料商社)、「流通過程における在庫の大量廃棄等を問題視すべき」(化粧品受託)―― などの声が聞かれた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1743号(2022.7.6)で
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