特集【カロテノイド】 豊富な機能性データに脚光

 カロテノイドとは、動物や植物に存在する黄、橙赤、赤色などの天然色素の総称を指す。自然界には、約700種類以上のカロテノイドが存在しているとされ、アルコールに溶けるカロテン類と、アルコールに溶けないキサントフィル類に分類される。健食分野では、活性酸素を除去する成分として80年代から90年代半ばにβ–カロテンが脚光を浴び、それ以降、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、クロセチン、フコキサンチン、β–クリプトキサンチンなどを配合したサプリメントが数多く上市されてきた。健食分野で利用されるカロテノイドの内、定番となっているのはリコピン、ルテイン、アスタキサンチンの3種類。インテージ社の『市場実態把握レポート2021年度版』よると昨年度の各素材の市場規模は、リコピン184億円(前年度比22%減)、ルテイン228億円(同0.9%減)、アスタキサンチン68億円(同13%増)となっている。

 

 カロテノイド類には、高い抗酸化力を持つという共通した特徴があり、アイケア、美肌、疲労回復、認知機能改善、抗メタボ、抗ロコモティブシンドロームなど様々なエビデンスが蓄積されている。臨床レベルの研究成果も多く、機能性表示食品制度においても多くのカロテノイド類が活用されている。米国立老化研究所(NIA)の今年5月の報告では、カロテノイドの摂取が認知症の発症リスクを抑えることが示唆された。NIAは、45~90歳の米国人男女7,283人を対象に約17年間、血中のカロテノイド類、ビタミンA、C、E 量を分析し、ルテイン、ゼアキサンチン、β–クリプトキサンチンの血中濃度が高い群は、低い群と比べて認知症の発症リスクが減少することが明らかとなった。

 

 血中カロテノイド濃度と、がんや心血管疾患の死亡リスクの相関性を指摘するデータもある。藤田医科大学の藤井亮輔氏らが昨年6月に発表した研究報告によると、北海道南部八雲町の40歳以上の男女約3,000人を対象に、血液中の血清カロテノイド値を測定し、22年分の計測データと死亡率との関係を分析したところ、血清中の総カロテノイド値が25%上昇するごとに、死亡リスクが15%低下し、がんによる死亡リスクは18%、心血管死亡リスクは14%それぞれ低下した。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1742号(2022.6.15)で
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