連載【はじめての越境EC⑬】〈タイ編〉消費者の76%が越境ECに興味

 人口約6,980万人のタイは著しい経済成長を続け、EC市場は約9,790億円(Marketeer Online, 2020)とコロナ禍以前と比較して倍増した。1人当たりGDPは約7,800ドルで、首都バンコクに限ると約2万ドル(IMF)に達し、アジアの中でも高い購買力を持つ。9割以上の人がフェイスブックを利用し、若年層に限らず幅広い年代の人がECを積極的に利用する。タイの女性はインナービューティに関心が高く、日本製のサプリは人気となっている。文字だけでなく動画も活用したプロモーショで、消費者の信頼を獲得することが成功の鍵となる。

 

 タイのECサイトは、Shopee、Lazadaが最も利用されており、圧倒的な2強体制となっている。タイでは、フェイスブック・メッセンジャーの広告経由でECでの買い物が盛んに行われることも特徴だ。アジアへの越境ECを支援するアジアンブリッジ㈱が、タイの消費者3,000人を対象に行った調査(2022年4月)によると、越境ECを「よく利用する」消費者は7%、「時々利用する」は51%で、「利用したことがない」を除くと、全体の76%が越境ECの利用経験がある。オンラインショッピングで「非常に重要」としていることは、多い順に「正規品であること」72%、「価格の妥当性」68%、「消費者レビュー」57%となったという。

 

 東南アジア全体の傾向と同様、タイでもECに模倣品が安価に出回ることが社会問題化している。正規の企業の製品であることを説明し、販売実績と共に消費者からのレビュー評価を高めることが肝心だ。注意点として、大手モールは健康食品、化粧品の越境ECを自主規制しているため、タイ現地の法人に販売代行を依頼することが一般的だ。日本製品は品質への評価が高く人気となっている。アジアンブリッジの嶋航氏は、「ファンケルやDHCといった有名ブランドの製品が特に盛んに利用され、コラーゲン等インナービューティ向けのサプリメントが売れ筋だ。また、タイは1年を通して日照が強いため、女性向けのUVケア製品がよく売れる」と話している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1741号(2022.6.1)で
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