特集【SDGs】 消費行動の基準にも、狙い目はZ世代

 SDGsは、環境問題や経済、健康など人類の共通課題に対して、国や地域の垣根を越えて解決を目指すという考え方。欧米では企業にSDGsの取り組みに関する報告を義務化している国も多く、民間でも企業間取引の必須項目になっているケースも少なくないという。SDGsの達成に向けたプロセスは、ESG(Environment Social Governance/環境・社会・企業統治)と呼ばれており、ここ最近は投資ファンドの企業選定の基準となりつつある。世界持続的投資連合によると、2020年のESG投資額は約3,900兆円、18年比で約15%増と伸長している。

 

 日本でもSDGsの認知が急速に広がっている。10~70代の男女1,400人を対象とした電通の最新調査では、SDGsの認知率は8割強。昨年1月から30ポイント以上増えた。自分の行動に落とし込む、周りに行動変容を促すなど意欲的な人は3割弱だが、SDGsに取り組む企業に対しては、「イメージが良い」(40%)、「好感が持てる/応援したい」(35.2%)、「信頼ができる」(26.6%)など好意的な人が多い。また、「SDGsに取り組む企業の商品やサービスを利用したい」と回答した人は約2割。実践意欲の高い層に絞ると約4割に達する。単純な企業への印象に留まらず、具体的な商品の購入動機やサービスの利用意向に繋がっている。年代別では15~25歳の若年層は、SDGsに貢献したいと回答した人が多い。いわゆるZ世代と呼ばれる彼らは、学校教育の中でSDGsを学ぶ機会が多く、家族や友人との会話や、ソーシャルメディアを通じて積極的に情報を交換している。また、ヴィーガンやプラントベースへの関心も高く、肉や魚を控えて植物性食品を選択する人は18.1%、他世代に比べて3倍以上多い。

 

 健康食品や化粧品の成分は、農水産物の未利用部分から抽出される成分も多い。最近は、「アップサイクル」「サステナブル」を打ち出す企業が如実に増えており、前回の食品開発展や健康博覧会でも昆虫食や植物プロテインなどの出品が目立った。昨年12月に本紙が行った調査(有効回答106社)では、健食受託・加工企業の約3割が既にSDGs取り組んでおり、検討中も合わせると約8割の企業がSDGsに前向きという結果に。取組の内訳は、「プラスチックの削減」「環境負荷低減包装・容器の取扱い品目拡大、顧客への提案」「包材の見直し」など。森林循環に有効なFSCマークの付いた包材のみを使用する例、輸送コスト減だけでなくCO₂削減を狙い、瓶から三方シールへ切り替える飲料メーカーも見られた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1740号(2022.5.16)で
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