特集【注目のキノコ素材】 特有成分に脚光 機能性表示受理も

 菌という漢字の訓読みが“きのこ”だと知らない人は、業界関係者でも意外と多い。近年は腸内フローラへの注目の高まりから「菌活」がブームとなり、スーパーの生鮮売場には、“キノコで菌活”“キノコを食べて腸を綺麗にしよう”などのキャッチが増えた。コロナ禍の免疫需要もあり、売上も上々だという。キノコは真菌の一種であり、菌糸と呼ばれる白い糸を地中や生物の皮膚に伸ばすことで成長する。β-グルカンをはじめ、ビタミンD、食物繊維、アミノ酸類が豊富に含まれている。日本に生息するキノコだけでも5,000種類以上と言われ、そのうち食用に利用されるのは、マイタケやヒラタケなど約200種類。健康食品には、冬虫夏草、霊芝、アガリクス、タモギタケ、ヤマブシタケ等が利用されている。

 

 キノコ素材を配合した健康食品は、主にDgS、漢方相談薬局、医療機関などで販売されている。最近はオーガニック専門店や薬膳料理店、SM、ペットショップ等でも商品が見受けられる。本紙取材では、「コロナによる免疫ニーズが続いている。昨年のサプリ売上高は、前年比2ケタ増と伸長した」「海外向けの茶、ソバ、コーヒーなどに利用されるケースが増えている」などの声が聞かれた。商品の剤形は、飲料、錠剤、粉末、茶、ソバ、キャンディなど様々。複数のキノコ素材をミックスした製品が主流だが、「アガリクスキャンディ」や「霊芝コーヒー」のような1つのキノコを前面に押し出す商品の人気も根強い。

 

 過去にはアガリクスショックによる逆風が吹いた時期もあったが、霊芝やヤマブシタケ等が海外でスーパーフードとして注目されたこと、新型コロナで世界的に免疫需要が高まったこと等が追い風となり、販売量を伸ばすサプライヤーも少なくない。主要企業数社への聞き取りでは、原料供給量は横ばい~微増で推移しており、昨年の健食キノコの流通総量は105~110%と見られる。

 

 今年3月に北米で開催された「ナチュラルプロダクツエクスポ・ウエスト」では、「Lion’s Mane(ヤマブシタケ)」を配合し、免疫賦活、脳機能改善を訴求したサプリメントや茶が多数、出品された。また、インフォーマグループの米業界紙NBJが発表した「2022年のトレンド予測」では、機能性キノコサプリがベスト10入り。海外トレンドは概ね、数年後に日本に到来することを考えると、国内でのキノコ人気急上昇にも期待がかかる。

 

 最近、業界の関心を集めているキノコとして、冬虫夏草がある。アミノ酸、亜鉛、β-グルカン等が豊富なことから、滋養強壮、体力回復系の栄養ドリンクや健康食品に利用されることが多い。また医療機関では、がんの代替療法や術後の回復を早める目的等でも冬虫夏草サプリが用いられるケースも少なくない。注目を集める理由は、特有の機能性成分の研究が進んだこと。関連メーカーによりコルジセピンやナトリードといった他のキノコには含まれない有用成分が発見され、アルツハイマー病を含む認知症の改善効果、子宮内膜の肥大や骨粗鬆症、更年期障害の抑制など、研究成果が続々と発表されている。製薬系メーカーの参入も見受けられ「医家ルートからネット販売に繋がる例が増えた」「中国や韓国向けの免疫サプリへの配合例が多い」との声もあり、昨年比125%で売上が推移したメーカーも見受けられた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1740号(2022.5.16)で
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