特集【食品受託試験/機能性表示支援】 食品CRO新サービス続々
8年目を迎えた機能性表示食品制度の届出状況は制度開始以来の活況を見せている。届出者総数は1,200社・団体を突破。うち約500社・団体は、2021年度以降に新規参入し、ここ半年ではエイベックス・エンタテインメント(音楽等コンテンツ)、カタログハウス(通販)、ルネサンス(スポーツクラブ)をはじめ、幅広い分野の企業が新規参入している。大手企業のみならず中小企業も数多く含まれる。2021年の1年間に1,386件の機能性表示食品届出が行われ、2018年からの3年で倍増。本紙の調査では、2021年の1年間に発売された健康食品・保健機能食品の48.5%は機能性表示食品で、2019年は40.8%、2020年は44.7%と増加し続けている。
機能性表示食品制度は、科学的エビデンスを元に届出を行い、企業の責任において機能性を表示する制度だが、既存の論文を収集した研究レビュー(SR)を根拠とするか、独自にヒト試験を行って機能性を評価することが必要となる。機能性表示食品はトクホと比較して、自由なヘルスクレームを表示することが可能となるが、届け出数が増加するとともに商品の差別化競争も激化、ダブルクレーム、トリプルクレームでの届出も増え、より独自性の高いヘルスクレームを目指す企業が増えている。そのため、食品CROとともに、独自のヘルスクレームを想定したヒト試験を計画し、クリニックや研究機関と共同でエビデンス構築を行うケースも増えている。
また、原料サプライヤーにとってもエビデンス構築の重要性は高まり続ける。近年では、食品企業への機能性原料提案の際にエビデンスを問われることは当たり前となっており、BtoBのプレゼンに向けて試験を行う例が増加。少人数によるオープン試験等を行うことも多い。ヒト試験を利用した届出はコロナ禍前の2019年中まで増加を続け年70件近くまで伸びていた。ところが2020年、2021年は感染リスクへの懸念から試験の延期が相次ぎ減少。しかし、2022年に入ってからは、延期となっていた試験の再開が相次ぐ。今回の取材で、食品CROの業況は、前年比で微増から2 ケタ増という企業が多く、受託試験市場が回復・拡大していることがうかがえた。感染対策への規制が解除され、コロナの影響から脱しつつある2022年は臨床試験数が飛躍することが予測される。
今回の取材では、多くの食品CROから「食後血糖」「脂質代謝」「内臓脂肪」といった血糖や代謝関連の試験依頼が増加しているという声が聞かれた。運動不足解消への需要は高まることが予測される。また、高齢化とともに「健康寿命」への意識が高まり「脳機能、脳疲労」「ロコモ・フレイル」「膝関節」といった分野の試依頼も増加傾向だ。一方で健康食品のニーズは多様化、細分化する傾向が進む。女性の健康分野「フェムケア・フェムテック」に対する試験依頼も増加し、機能性表示食品では、「膣内環境を良好にし、膣内の調子を整える」「冷える時の手の体温を維持する」「脚のむくみを軽減する」(それぞれ抜粋)といった様々な表示が登場している。つづく
詳しくは健康産業新聞1740号(2022.5.16)で
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