特集【大麦】 「血糖値」「腸内細菌叢」等、エビデンス構築活発

 大麦摂取と腸内細菌叢の関係性を示す新たな知見が得られた。大麦摂取量の多い日本人の腸内細菌叢を調べたところ、ビフィズス菌や酪酸産生菌(ブチリシコッカス菌)が多いことを、医療基盤・健康・栄養研究所と山梨大学、はくばくが200人規模のコホート研究で確認。大麦の摂取は腸内のビフィズス菌と酪酸産生菌を増やす可能性が示唆された。研究成果はイギリスの科学雑誌『BMC Nutrition』(3月14日発行)に掲載されている。はくばくによると、「腸内細菌がヒトに及ぼす健康機能に注目が集まっている。今後は大麦摂取がもたらす腸内細菌叢の変化が糖尿病、高血圧、脂質異常症などの疾患とどのように関係していくのかを明らかにしたい」としている。糖尿病患者の食後高血糖抑制および血糖変動を抑制する新たな研究成果も発表された。那珂記念クリニック、山梨大学、はくばくの共同研究によるもの。「糖尿病治療薬として一般的なメトホルミン服用の糖尿病患者および投薬治療はせずに、食事療法のみの糖尿病患者で効果がみられた」としている。Ⅱ型糖尿病患者における食事療法の選択肢のひとつとしての期待が高まっている。

 

 大麦に含まれる水溶性食物繊維(β-グルカン)が及ぼす様々な健康効果について、食後の血糖値上昇抑制やコレステロールの正常化作用、血糖値上昇抑制が時間差で現れるセカンドミール効果、満腹感の持続作用などの研究が報告されている。近年では小麦ブラン(不溶性食物繊維)との同時摂取で機能性が向上するという研究報告も。小麦とバーリーマックスの同時摂取による太りにくさの指標「FB比」の改善効果も報告された。海外では、玄米と大麦を一緒に摂取することが有効との報告も。玄米などの不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ腸を刺激、この蠕動運動の活発化が便通を促進させることが明らかになっている。このほか、水溶性の食物繊維(β-グルカン)の食べ合わせは、腸全体にβ-グルカンを届けるとの研究成果
もある。つづく

 

 

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