ZOOM UP【馬の油】 ニーズ急伸、マスク生活の救世主に

 今回の取材・調査では、馬油の需要が昨年来、急伸していることがわかった。調査に回答した主要サプライヤーの業績は、前年比で1~2割増となっている。主要サプライヤーの1社である千興ファームの担当者は、「各社の販促努力もあって、長引くマスク生活の中で、馬油化粧品の肌馴染みの良さが認識されてきたものと思われる」とコメント。実際、マスク常用に伴う肌荒れや大人ニキビ、さらにアルコール消毒剤の過度使用に伴う手荒れは深刻で、本紙が化粧品受託企業約100社に実施したアンケート調査でも、韓国で人気のアクネケア成分「CICA(ツボクサエキス)」を配合した化粧品のニーズが、コロナ禍で急速に高まっていることは既報の通りだ(1730号)。

 

 奈良時代に日本に伝来して以降、火傷や切り傷、アカギレなど皮膚治療の民間薬として用いられてきた馬油もまた、こうしたニーズに合致した機能性を有している。なかでも馬油の脂肪酸組成はヒトの皮下脂質に近く、古くから「赤ちゃんからお年寄りまで安心して使用できる」と言われている。実際、ECサイトでは、馬油とCICAを組み合わせた製品も販売されている。メインでも「馬油をベースにCICAを配合したシャンプーの評判が良い」とのこと。こうした馬油の機能性に着目し、SNSを中心に影響力のあるインフルエンサー達が、馬油のメリットを多く発信し始めていることも、ニーズ拡大の追い風となっているもようだ。

 

 さらに追い風となるのが、昨今のフェムテック市場の拡大だ。不飽和脂肪酸の含有量が59~65%と高く、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸をバランス良く含むことから、「全身に使える万能オイル」と称される馬油。産後妊婦の腹部のケアやデリケートゾーンケアにも使用できる優れた安全性と機能性は、同分野との親和性も非常に高い。実際、薬師堂では、「馬油が妊娠中の肌トラブル対策にも役立つことから、フェムテック商品としても注目され始めている」とコメントしている。また未利用資源を活用している馬油製品の多くは、SDGsに対応している点もメリットだ。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1738号(2022.4.20)で
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