特集【アンチドーピング】 ドーピング対策、サプリ市場で存在感

 クレアチン、L-カルニチン、HMB、イミダゾールジペプチド――。疲労回復や筋肉リカバリーを目的に、これらの機能性成分を摂取するアスリートは多い。オリンピックに出場した国内アスリートの9割以上が何らかのサプリメントを使用していたという調査結果も報告されている。サプリ摂取において何より怖いのは、ドーピング違反。選手はもちろんのこと、アンチ・ドーピング(AD)に取り組むサプリメーカーが年々増えている。なかには、一般消費者向けに製品の品質をアピールする手段としてAD認証を取得するケースも見受けられ、サプリ市場でADの存在感が高まっている。

 

 サプリを摂取するアスリート本人はもちろん、それを製造・販売するサプリメーカーにも、徹底したドーピング対策が求められる。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は毎年、禁止表国際基準を更新しており、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のHPからも確認できる。またJADAは、独自に「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みガイドライン」を設け、WADA基準に基づき、メーカー向けに「製品分析の頻度」「生産施設の基準」「成分分析の範囲」等を示している。

 

 国内のAD認証に関しては、利益相反との批判があったJADAの認証業務が18年末に終了して以降、インフォームド認証を筆頭に、NSF、BSCGなどの海外認証の利用が広がった。英国LGCが運営するインフォームド認証は、2月末時点で94社243品に到達。日本代理店からは「国内の各競技団体からも一定の評価を得られるようになった」との声が聞かれる。また、認証を伴わない分析サービスも広がっている。イルホープ、日本分析センターなどISO17025の基準を満たす分析機関が利用されている。

 

 こうしたADへの取り組みは、アスリートのみならず、一般のスポーツ愛好家や消費者への安心・安全の証としても認知されるようになった。実際に、スポーツジム、フィットネスクラブ、DgS等の販売チャネルでは、取引条件としてAD対応が求められるケースも少なくない。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1736号(2022.3.16)で
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