【話題追跡】 五輪控え活気づくスポーツサプリ市場に冷や水

 2020年いよいよ東京五輪・パラリンピックが開幕する。消費の盛り上がりが期待されるなか、業界の関心事はスポーツサプリメントの市場拡大。ひと足先に火が点いたプロテインは、現在ではトップアスリートから学生、主婦層、高齢者層まで、幅広く利用される身近な存在になった。産業界では第2、第3のプロテインを創出するべく、活発な動きがみてとれる。

 一方で、スポーツシーンに向けた製品について回るのがドーピング対策。国内ではアンチドーピング認証を取得する企業も徐々に増えるなど、盛り上がりをみせつつあるが、ここに来て水を差す出来事も・・・。

 昨年、ドーム社が手掛けるサプリメントブランドDNSシリーズの『アイアンSP(アイアンスーパープレミアム)』に、世界反ドーピング機関(WADA)指定の禁止物質3種類が検出された。同社は、プロ野球球団・読売巨人軍とオフィシャルサプライヤー契約を結んでおり、当該製品は昨年6月の発売以降、複数の選手が摂取していたとされる。

 ドームによると「禁止成分の混入量は微量で、ドーピング検査により選手から陽性反応が出る可能性は低い」とコメント。ドーピング対策の重要性を声高にしていたメーカーとしてはお粗末な事態だ。混入経緯や原因についての追加説明は未だ行われていない。

 また昨年末、バイオヘルスリサーチリミテッドが、アークレイ社が開発販売する機能性原料にドーピング禁止物質が含まれていると誤って情報を公開。事実無根であることを認め謝罪をするという事態も起きた。アークレイは発表内容を受け、バイオヘルスリサーチ社に指摘内容の真偽について照会を依頼すると、集計段階での資料混同による間違いであったことが判明し、分析の結果禁
止物質はまったく検出されていないことがわかった。

 バイオヘルスリサーチリミテッドは英国LGC社が運営するアンチドーピング認証「インフォームド・チョイス」の日本窓口業務を担っている。今回の騒動はアンチドーピング認証審査そのものに問題があった訳ではないが、ドーム社の件も含め、盛り上がりつつあるスポーツサプリ市場に水を差すことだけは避けたい。つづく


詳しくは健康産業新聞第1684号(2020.1.15)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら