20年健康食品市場展望、「免疫」表示に期待

 健康食品はどのくらい消費者に利用されているのか…。国の統計でこれが明らかにされる。厚労省は「国民生活基礎調査」の調査事項を変更し、19年はサプリメント剤型の健康食品の摂取状況を調査。結果は今年7月に公表される予定だ。国民への浸透度合いによっては、法制化を含めた新たな議論が巻き起こるかもしれない。

 5年目を迎えた機能性表示食品については、「増えるのは受理数だけ」という冷めた見方もある。大々的なPRが可能な大手企業では好調な売れ行きの商品も見られるが、本紙の健食受託製造企業調査でも、「機能性表示食品であることが販売に直結しているかが不明」との声が聞かれた。受託企業で制度を評価する割合は年々低下、19年12月調査では30%にとどまった。

 認知度がなかなか上昇しない点も大きな課題だ。消費者庁が19年5月に発表した1万人対象の調査結果では、機能性表示食品が「どのようなものか知っている」割合は18.3%で、前年から2.5ポイント増にとどまった。品目数の増加で目にする機会が増えているのに、機能性表示食品としての認識が深まっていない実態が浮かび上がる。

 受理後に撤回が求められることも問題点として指摘されている。この点については、今年度中に示される「事後チェック指針」による解決が期待されている。さらに、業界団体主導の「公正競争規約」づくりも始まり、企業が安心して事業を勧められる土台作りが着々と進んでいる。

 あとは消費者が求めている新たな表示の実現だ。「インフルエンザ対策に○○」と報道されて消費者が飛びつくのは、それを消費者が求めているからこそ。今年度中に閣議決定する見通しの「健康・医療戦略(第2期)」では、「機能性表示食品等の科学的知見の蓄積を進め、免疫機能の改善などを通じた保健用途における新たな表示を実現することを目指す」との一文が盛り込まれる見通し。すでに民間で「粘膜免疫」を指標とする機能性表示に向けた取り組みが行われており、「免疫」表示実現の可能性は高まっている。つづく

 


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