特集【カシス】 多岐にわたる機能性研究進展、市場規模50億円に

 カシス(ブラックカラント)は、ユキノシタ科スグリ属の灌木。果実は、ジュースやリキュール、ジャムなどの原料として利用される。爽やかな味と香りが特徴で、カクテル、リキュールの材料として高い知名度を誇る。現在、国内で流通するカシスは、ポーランド、中国、ニュージーランドなど海外産が9割以上を占める。青森県や長野県で生産された国産品もあるが、シェア率は極めて少ない。

 カシスエキスは、総アントシアニン量20~35%で規格されたものが多く、スプレードライ法を用いた抽出が一般的だが、凍結乾燥を用いたフリーズドライ品も見られる。総アントシアニン量の定量には、デルフィニジン配糖体、シアニジン配糖体のそれぞれを基準とする定量法があり、商品規格によって分けられている。近年はカシス特有のアントシアニンの機能性が注目され、血流改善や、コラーゲン、エラスチンの産生促進、筋肉痛軽減作用などの新たな研究が進められており、冷え対策、内外美容、スポーツニュートリションといったジャンルでの商品提案も見られる。

 健康食品分野では、アントシアニン、ビタミンC、ミネラル、食物繊維などが豊富なスーパーフルーツとして、国内外の研究機関で眼圧上昇抑制に対する臨床研究が行われ、ブルーベリーと並ぶアイケアの代表的な素材である。日本緑内障学会では「緑内障の進行抑制」に関するカシスの有用性が発表されており、『カシス-i EX』(森下仁丹)や『ビジョンスマートスプリーム』(日本ジャストザベリーズリサーチ)など眼科クリニックで販売されるサプリメントも多い。眼科のほかアスリート専門のスポーツドクターの利用も増えており、プロスポーツチームに採用されるケースも。
 
 自然食品専門店では、『醗酵カシス』(ジャフマック)などドリンク品が堅調なほか、デーツやゼリータイプの新商品も見られる。健康食品分野におけるカシスの市場規模は、末端ベースで約50億円と推計される。通販ルートで11月より野草酵素が『ピントくるカシス』の発売を開始。売上高100億円を超える同社の参入が市場のアクセルとなるか期待が集まる。つづく


詳しくは健康産業新聞第1680号(2019.11.20)で
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