特集【オーラルヘルスケア】 口腔内の菌活に着目した素材・商材が増加

 う蝕(虫歯)と歯周病の口腔2大疾患が、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞をはじめ、脳梗塞、誤嚥性肺炎、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβを増やすことなどが明らかにされている。虫歯菌や歯周病菌が口腔内で炎症を起こし、その炎症性物質が歯周ポケットから血液内に入り込み、全身を回ることが要因とされる。最近では、歯周病菌の一部が胃を通過して腸管に入り込み、腸管内の細菌叢を乱すことで、大腸がんの原因になること、がんの転移を促進すること、さらには食道がんや関節リウマチなどの病態とも関連しているとのデータも報告されている。これら口腔2大疾患に加え、令和 7年の総人口における65歳以上人口が29.4%と過去最高を記録する超高齢社会のわが国では、高齢者のオーラルフレイル(口腔機能低下症)を予防・抑制することも、喫緊の課題とされている。

 

 オーラルヘルスケア商材の市場は、う蝕や歯周病予防用途、美白用途、口臭ケア用途、舌のケア用途などに分類され、歯ブラシ、電動歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス類、舌クリーナーから、ハミガキ剤(練り・ジェル・液体・粉末・錠剤)、洗口液、口中清涼剤(スプレー・タブレット・フィルム)、サプリメントまで、様々な商材が流通している。主な販売チャネルは、GMS・SM・DgSなどの小売店、通販、歯科医ルートなどで、特にDgSルートがメインとされる。また近年は、1,000円を超える高機能・高価格帯の歯ブラシやハミガキ剤が人気で、DgSでも1,000円以上の高価格帯のハミガキ剤が、売り場の 3割程度を占める状況になっているとのこと。実際、日本歯磨工業会によると、2025年度(1〜12月)のハミガキ類全体の出荷実績は、数量ベースで6億695万7,000個、金額ベースで1,692億3,700万円。数量ベースでは前年度比2.3%減となった一方、金額ベースでは同4.0%増と、高機能・高価格帯ハミガキ剤の人気を裏付ける。

 

 口腔領域をキーワードとする機能性表示食品も増加している。7月 7日時点で機能性表示食品の受理数は28品(撤回除く)。 届出受理されている機能性関与成分は、常磐植物科学研究所が供給する「ゲッケイジュ葉エキス」やウェルネオシュガーが供給する「環状デキストラン及び直鎖デキストラン」をはじめ、「還元型コエンザイムQ10」「エピガロカテキンガレート」「乳酸菌LS1」「緑茶フッ素」「ラムノーザス菌L8020株」の7種類となっている。機能性関与成分以外でも、口腔プロバイオティクス素材を訴求する乳酸菌『BLISK12®』や『BLIS M18®』(トレードピア)、歯の再石灰化に必要な土台を構築する機能が確認されている『プロテタイト®』(ミヤコ化学)、抗菌作用により口腔内の細菌増殖を抑制し、抗炎症作用で口内の炎症を軽減する『クルクミンC3コンプレックス』(サビンサジャパンコーポレーション)、強い唾液分泌作用を促進する『花椒オイル』(オリザ油化)、歯肉炎指数、歯周ポケット検査時出血率の有意な改善が確認された有胞子性乳酸菌『スポルス』(セティ)、ヒト試験で歯周病菌減少効果が確認されている乳酸『クリスパタス菌KT-11』(キティ)など、オーラルヘルスケアに対するエビデンスを揃えた素材は、年々増加している。

 

 近年の研究で、腸内の菌バランスと口腔内の菌バランスに相関があること確認され、「腸―口腔内相関」に注目が高まっている。腸活ブームが持続し、市場がレッドオーシャン化する一方、口腔内の菌活を訴求したサプリメント市場はブルーオーシャンの状況だ。トラストレックスでは、歯科医ルートで歯茎マッサージャーと併せて展開中のサプリメント『サリオーラ・タブレット』の売れ行きが順調で、高リピート率を誇っているという。同品は、乳酸菌『クリスパタス菌KT-11』とCoQ10を配合し舐めて摂取する口腔内の菌をケアするサプリメントだ。他にも感度の高いサプライヤーや販売メーカーが、「腸―口腔内相関」に着目した素材・商材の販促を進めており、今後の動向に注目される。つづく