【キーマンに聞く ― ベトナム編】 規制強まるベトナムの健康食品市場、「今こそ進出準備を」
人口1億人を突破し、実質GDP成長率8.0%を記録するベトナム社会主義共和国。内需の拡大や海外からの継続的な直接投資を背景に、東南アジアでも屈指の高度経済成長を遂げている。健康食品やサプリメントへの関心も年々高まっており、日本からの輸出も増加傾向に。一方で、食品の安全性強化を目的とした動きも活発化。規制強化を目的とした新法への対応も必要となってきている。現地ベトナム市場に詳しいクローバープラス㈱代表取締役の佐々木英樹氏に聞いた。
── ベトナム健康食品規制の現状
ベトナムの健康食品・サプリメント規制は極めて複雑で、近年さらに厳格化している。その背景にはここ数年で発覚した偽粉ミルクや偽医薬品、偽健康食品といった食品や医薬品の偽装問題の多発にある。ベトナムでは食品や化粧品の販売にあたり政府に登録を行う必要があるが、2023年春頃から新規登録が事実上停止し、既に流通している商品に対しても通関での抜き打ち検査が厳しくなっていった。こうした背景から、今年1月にはベトナム政府は食品安全管理の透明性と実効性を高めるべく、政令46号及び決議66.13号による抜本的な制度改正に踏み切った。
── 混乱極める政令46号
今回施行された政令46号は、市場参入前(プレマーケット)における「事業者責任の強化」と、市場参入後(ポストマーケット)における「事後監督の強化」が目的。規制強化の具体性としては、これまで運用されていた政令15号による製品自己公表制度の廃止や、原材料の調達から製造、輸入、販売に至るまでのサプライチェーンのデータベース管理化。さらに健康食品分野において健康食品GMPの適用範囲の拡大と、高度な安全管理認証取得の義務化などが挙げられる.今年 1月26日にこの政令46号が発布され即日施行となったが、ガイダンス不足や検査機関の体制未整備により、港湾で輸入貨物の10万tを超える大規模な滞留が発生した。通関できない状態が問題視され、企業や業界団体から運用停止の要請が発生。さらにベトナムの国民的行事となる旧正月(テト)にも影響することを考慮し、ベトナム政府は政令の適用を4月15日まで一時的に停止することを決定した。4月16日には、停止期間満了に伴い同日より再び運用が開始されたものの、混乱は収まらず、運用上の不備を修正した上での再導入を目指すことに。現在は政令46号の施行が撤回された状態になっている。
── 今こそベトナム進出の準備を
ベトナムで事業を成功させるには、経営者や管理者自らが現地に足を運び、「市場の空気感」を肌で感じることが不可欠だ。ベトナムでの事業は、売上が立つまでに2~3年掛かるのが当たり前であり、短期的な成果を求めず、少なくとも5年は腰を据えて取り組む「粘り強さ」が求められる。一方で、日本国内での知名度や売上実績に関係なく、戦略ひとつでベトナムでトップを取れる「下剋上」の可能性がある点が魅力だ。ビールのサッポロ、即席麺のエースコックがその好例であり、彼らは日本での順位に関わらず、ベトナムで確固たる地位を築いている。前述の政令46号の混乱は一旦落ち着き、旧法での運用に戻るが、規制強化の流れは変わっておらず、今後新法に移行するのは間違いない。そのための準備を今から実施することが、数年先のベトナムでの成功の近道だと考えている。つづく
詳しくは健康産業新聞1838号(2026.6.17)で
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