連載⑲【海外ヘルスケア最前線】 広がるマーケット、「ニュートリコスメティクス」
欧米を中心に変化するヘルススケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛けるOctroll㈱・代表取締役の田中啓之氏が、海外ヘルスケア市場の最新動向などを紹介する。
海外メディアで最近よく目にする言葉に“Nutricosmetics(ニュートリコスメティクス)”があります。コラーゲンやヒアルロン酸など内側から美をサポートする機能性素材・サプリメントの総称で、日本で言う“インナービューティー”に近い概念です。最初は“新しい言い方をしているだけでは?”という印象を持ちましたが、改めて2026年の動向を追ってみると、単なる再価値化にとどまらない変化の兆しがいくつか見えてきます。市場規模については調査会社によって幅がありますが、2026年時点での概ね80〜110億ドル規模、年率+7〜9%台での成長率が複数レポートで示されています。
では何が変わっているのか? 1つは、従来の“肌”中心の訴求から、髪・爪・腸まで包括するマルチターゲット型への拡張です。3月号でも取り上げた“Hair, Skin & Nails”の潮流とリンクしており、この文脈でニュートリコスメティクスという括り方がされていることがよくわかります。2つ目は、ロンジェビティ(長寿・老化)との融合です。NAD+前駆体やレスベラトロール、ケルセチンなど、これまでアンチエイジング文脈で語られていた成分が“内側からの美”という文脈で登場し始めています。“シワが減る”といった表面的訴求から、“生物学的老化速度にアプローチする”という科学的命題へのシフトは、業界の本気度を感じさせます。
さらに、2026年ならではの切り口として注目しているのが、GLP-1作動薬との連動です。急激な体重変化に伴う皮膚の弛みや抜け毛への対処ニーズが、新たなニュートリコスメティクス需要を生み出し始めているというのは、まさに時代を映した動きです。4月にパリで開催された化粧品原料展「in-cosmetics Global」では、初めてニュートリコスメティクス専用展示セクションが設けられ、コラーゲン、ヒアルロン酸、植物性エキスがトップ素材として紹介されたほか、リポソーム技術による吸収率向上など“届ける技術”の競争も始まっています。つづく
詳しくは健康産業新聞1838号(2026.6.17)で
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