特集【プロポリス】 原料高・調達難が常態化 価値再定義の局面に
(一社)日本プロポリス協議会によると、今年のブラジル産原料は、近年では珍しく気候条件に恵まれ、生産量は比較的安定しているという。従来、現地では「天候不順による不作」を理由に供給不安や価格上昇が語られるケースが多かったが、今年は収穫量について前向きな見方が出ている。ただし、供給量が回復したからといって、価格が急落する状況ではないようだ。高品質グレード、特にミナスジェライス州産グリーンプロポリスの上級原料については、1 kg当たり2万円を下回ることは考えにくく、良品指定の場合の日本到着価格は 3万5,000円前後が一つの目安とされている。背景には、為替の影響に加え、物流費、人件費、環境対策コストなどの上昇があり、「トータルコストで見ると、簡単に値下がりする環境ではない」と指摘する。
ブラジル輸出統計局データによると、ブラジルから日本へのプロポリス原料輸入量は2007~2008年が明確なピークとなっている。当時は為替が比較的円高で推移していたこともあり、原料ベースでも年間4~5億円規模に達していた。しかし、直近の2024~2025年では、その水準の約20分の1まで落ち込んでいる。一方で、中国向けを含めたブラジル産プロポリス全体の輸出量を見ると、ピーク時(2011~2013年)からは減少したものの、現在でも約3分の1程度の数量は維持されている。現在の需給構造で特徴的なのが、日本と中国の購入スタンスの違いだ。日本市場では、成分データの取得や品質担保が重視され、実質的に上級グレードが取引対象の多くを占めている。一方、中国では幅広いグレードが購入されており、価格帯も1kg当たり1万5,000円前後から2万5,000円超まで「ピンキリ」だという。現地では、中国系バイヤーがブラジルの生産現場まで直接足を運び、「直接取引を持ち掛けるケースも増えている」との声も。ブラジルでは大豆や畜産分野ですでに中国資本の存在感が強いが、プロポリス分野でも同様の動きが加速している。
こうした価格水準が続く背景には、生産量が回復基調にあっても、原料調達を取り巻く環境が依然として厳しいことがある。ブラジル産プロポリスを中心とした原料確保は、近年も容易ではない状況が続いている。要因の一つが、基源植物を取り巻く生育環境の変化だ。主要産地では土地開発や農地転用が進み、基源植物の群生地が徐々に減少しているという。加えて、ウクライナ情勢以降、農産物調達においてリスク分散を重視する動きが世界的に強まり、南半球に産地を求める流れが加速。その結果、アレクリンの群生量減少が引き起こされているとされる。こうした需要増を受け、現地では巣箱数を増やすなど、生産量拡大に向けた動きも見られる。ただし、巣箱の増設は同時に、ミツバチ同士による原料の奪い合いを招きやすいとの指摘もある。プロポリスの有用成分は、ブラジル産グリーンプロポリスの場合、基源植物であるアレクリンの新芽先端部に多く含まれるとされる。しかし原料が不足すると、ミツバチが本来は採取しない新芽の根元や成熟部位、さらには別の植物由来の樹脂を持ち帰るケースが増える可能性がある。結果として、原料中の有用成分の平均値が低下する傾向が見られ、実際、分析データ上でもコロナ禍以降、成分値の低下が続いているという。今後の安定確保が課題となっている状況だ。つづく
詳しくは健康産業新聞1835号(2026.5.6)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら