特集【水素】 市場成長の勢いに一服感
本紙編集部では2026年上期の水素商材の市況を調査するため、3月中旬から 4月初旬に掛けて水素商材の有力メーカーなどを対象に訪問取材およびアンケート調査を実施。45社から回答を得た。今年上期の経営状況について「良かった」との回答は、昨年調査と比較して9.9ポイント減の44.4%。また売上・増減率予想に対して回答のあった企業の内、今年上期の売上高が昨年同期を上回った増収企業は同12.5ポイント減の48.9%となり、昨年までの勢いからすると、一服感が見られる結果となった。「良かった」と回答した企業のコメントでは「水素発生原料の供給量が伸びた」「水素サプリ
メントの売上が伸びた」「水素入浴料のOEMが好調」「水素トリートメントの売上が好調」―― など、昨年来好調が続いている水素サプリメントや水素入浴料、水素化粧品等の消費材を扱う企業が目立った。
特に最近は、水素吸入療法を導入している医療機関やエステサロン、リラクゼーションサロン、業務用水素水サーバーを設置しているフィットネスクラブやスポーツジムへの卸販売も増加しており、水素繋がりで物販アイテムとして採用されるケース、水素吸入器メーカーが仕入れ販売するケースも増えている。機能性表示食品の受理実績を持つ『高濃度水素ゼリー』を製造販売する新菱では、全国の大手GMSやDgS等の数百店舗や大手スポーツジム等で販売が始まっているほか、大手販売メーカーからのOEM案件も増えているという。また同社は、有力コスメブランドに対する水素トリー
トメントのOEM供給が好調に推移。水素商材では希少なオープンマーケットでの展開を進めている。
水素発生原料のサプライヤーの話でも、最近はサプリメントの有力販売メーカーからの問合せが増えているという。エフアイコーポレーションやアスナロ化工研究所など、健康食品の総合受託メーカーが、水素サプリメントのODM提案を推進する動きも、好循環が生まれている一因となっている。なお、水素商材市場の約半分を占める水素水については、今回の取材・調査からは、容器入り水素水の市場の縮小が年々進んでいる一方、家庭用の水素水生成器や電解水素水整水器、業務用水素水サーバーなどは堅調な動きを見せていることがわかった。
一方、今回の調査では、ここ数年 3割、2割と伸長してきた水素吸入器の伸びが鈍化しつつあることがわかった。背景には、水素吸入器の市場ボリュームに対して、メーカーが増え過ぎている点が挙げられる。水素吸入器の主要導入先の1つである医療機関の動きも、ここに来て一巡した感が見られる。水素分野で著名な研究者や臨床医が、様々なセミナーで水素吸入療法の知見を話す機会は増えており、今後も水素吸入器を導入する医療機関は増加していくと思われるが、ここ 1〜 2年で家庭用メーカーが“PRO”と題して業務用を上市するケースや、最初から業務用に参入するメーカーなどが増加している。医療機関の導入ペースに対し、供給サイドが過多の状況にある。
こうした中、先行メーカーのヘリックスジャパンでは、エステ業界の物販大手企業との提携や高気圧酸素ルームのメーカーとの提携を通じて、新たな導入先の開拓を進めている。ドクターズ・マンでも企業の福利厚生・健康経営市場への展開を進めている。また、家庭用水素吸入器のメーカー間でも、業績に格差が出始めている。水素吸入器は説明商材かつ体験型商材のため、催事販売や宣伝講習販売など対面販売チャネル、医療機関や治療院、エステサロン、スポーツジムなど施設を通じた体験販売が主となる。こうした販路を獲得できているメーカーとそうでないメーカーの間で売上に大きな差が生まれている。堅調に業績を拡大しているメーカーの成功事例では、「アスリートに特化した販促が奏功」「健康サロンを中心とした展開」「ペット市場への展開」「外商と連動し百貨店にポップアップ出店」などがある。
また、アイテムの差別化が奏功している事例では、アクアバンクが今年 2月の「健康博覧会2026」で、水素発生器にアタッチメントで接続した水素枕および、ゴーグルタイプのアイケア水素商材を出展し大反響を得た。水素枕は既に販売を開始しており、出足は好調という。ゴーグルは今夏に発売予定だが、既に代理店希望が殺到しているとのこと。この他、楽天市場等への出店をはじめ、SEO対策やSNS、WEBマーケティングを駆使して、ネット通販で売上を伸ばす企業
も見られるものの、オープンマーケットでの展開は限定的だ。水素吸入器のユーザーは現状、医療機関で水素吸入療法の経験がある患者層がメイン。健常者ではアスリートやモデル・芸能人、企業経営者や個人事業主など、健康意識の高い富裕層がコアとなる。
昨年11月の本特集でも紹介したが、美容意識の高い女性が入場料を支払って来場するイベントで、イズミズが来場者100人を対象に実施した調査では、水素商材を利用したことがある女性は49%。利用したことのある水素製品は水素水がトップで、2位の水素吸入器は半分以下との結果だった。美容意識の高い女性ですら、水素商材の利用率が半数という事実を鑑みれば、一般消費者の水素吸入に対する認知度は、現状ではかなり低いと思われる。一方、コロナ禍を機に来店客の激減、特例貸付けの返済不能などにより、2023〜2024年に掛けてスポーツジムやエステサロン、理美容室の倒産件数は過去最高を記録。こうした施設では現在、生き残りを掛けて付帯サービスや物販用に水素商材を取り入れるケースが増加。これら施設は一般健常者が水素吸入を体験する受け皿になる。水素吸入器の市場を拡大する上で、水素商材メーカーがこれら施設とマッチングにするには、今が絶好のタイミングと思われる。つづく
詳しくは健康産業新聞1834号(2026.4.15)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら