ZOOM UP【ニンニク】 変化する疲労の質と、SACが担う新領域

 現代人は、肉体的な負荷よりも、絶え間なく押し寄せる情報処理や複数の作業を同時にこなすことを求められる環境によって、精神的・認知的な負荷にさらされている。オンライン会議、SNS、動画視聴など、脳は常に刺激を受け続け、休む間がない。身体は動いていないのに疲れを感じる、集中が続かない、頭がぼんやりするなど、こうした脳の疲れは、従来の疲労素材では十分にカバーされてこなかった領域だ。こうした中、ニンニク由来成分のS-アリルシステイン(SAC)が、脳疲労・精神的疲労の領域を担う素材として注目度を高めている。抗酸化作用や神経保護作用を背景に、脳のパフォーマンス維持に寄与する可能性が示され、機能性表示食品でも疲労感軽減を訴求する届出が着実に広がっている。疲労市場の細分化が進む中で、SACは新たなポジションを確立しつつある。

 

 疲労市場を俯瞰すると、3素材の役割分担が鮮明だ。GABAはストレスや睡眠といった心理的疲労に強く、黒ショウガは血流や持久力を背景に肉体疲労を支えてきた。SACは抗酸化・神経保護作用を基盤に、脳疲労や精神的疲労といった“頭の疲れ”に対応する。特にSACは、集中力の低下や思考の鈍りといった“脳のパフォーマンス”に関わる課題に寄り添う点で、他素材との差別化が明確だ。情報過多時代において、脳のコンディショニングを求める需要は増えており、SACはそのニーズに最も適合する素材として位置付けられる。

 

 SACの市場性を押し上げているのが、機能性表示食品制度における採用の増加だ。2025年には、身体的疲労感や精神的疲労感を訴求する届出が公開され、SACを関与成分とする製品が複数登場した。PRISMA2020に対応したSRが公開されたことで、エビデンスの整理や開示姿勢が注目され、企業の検討材料としての価値も高まりつつある。さらに、原料メーカーによる高含有化・低臭化技術の進展により、SACはサプリメントだけでなく、粉末スープ、ゼリー、黒にんにく加工食品など幅広い食品形態での採用が可能になった。医療機関ルートでの採用も進んでおり、信頼性の高い素材として評価が高まっている。つづく

 

詳しくは健康産業新聞1833号(2026.4.1)で
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