ZOOM UP【大麦】 腸から全身へ広がる健康価値

 健康志向の高まりと米価格高騰を受け、大麦市場が拡大している。「腸活ニーズの定着」「米価高騰による主食代替」等を目的とした食習慣が浸透したことで、押し麦・もち麦の需要が底上げされている。大麦市場は「コストパフォーマンス重視」と「付加価値重視」の二極化も進んでいる。コストパフォーマンス重視は、押し麦を中心に、米の代替・補完として選択する需要であり、付加価値重視は、国産もち麦や機能性価値、食味を求める層の需要。こうした複数の軸で選ばれる市場へと進化しており、大麦は用途や価値観に応じて選択される食材となりつつある。

 

 腸の健康づくりは、ヨーグルトや発酵食品に限られない新たなフェーズに入った。近年は、どの種類の食物繊維を摂るかによって体への作用が大きく変わるという理解が広がり、特に大麦・オーツ麦・小麦ふすまなどに含まれる穀物繊維が注目されている。これらは腸内細菌のエサとして利用されやすく、短鎖脂肪酸を効率よく生み出すことが知られている。短鎖脂肪酸は単なる代謝産物にとどまらず、代謝調整や免疫制御、ホルモン分泌、脳機能、腸のバリア維持など、全身の健康に関与する重要な役割が研究により整理されてきている。こうした背景から、プロバイオティクス(発酵食品など)とプレバイオティクス(食物繊維など)を組み合わせて摂るシンバイオティクスの考え方も広がっている。

 

 「菌だけでは働けない」「餌だけでは意味がない」という視点で、両者をセットで摂るアプローチだ。なかでも大麦はプレバイオティクスとして非常に適しており、腸の健康意識の深化とともに再評価が進んでいる。こうした科学的理解の進展に加え、コロナ禍を通じて「腸=免疫」というイメージが一気に広がったことも、腸の健康づくりへの関心を押し上げる要因となった。その後は関心領域がさらに広がり、脳・肌・代謝といった全身のコンディションとの繋がりが注目されるようになっている。こうした広がりを背景に、腸の健康づくりは特定の層だけでなく、幅広い年代へと浸透している。つづく

 

 

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