特集【ローヤルゼリー】 市場規模290億円、7年ぶりに機能性表示食品登場

 ローヤルゼリー(RJ)は、働き蜂が花粉や蜂蜜を原材料として下咽頭腺から分泌する乳白色の物質で、女王蜂のみが食する餌として知られる。栄養価に優れ、脂質成分の大半を占めるRJ特有の脂肪酸である10-ヒドロキシ- 2-デセン酸(デセン酸)をはじめ、タンパク質(MRJP)、必須アミノ酸、ビタミン類、ミネラル、脂質、ペプチドなど、多様な成分を含有している。日本においては、1950年代頃から健康食品素材として利用が広がり、栄養補給需要の高まりと共に普及が進展。認知度を高めながら、サプリメントやドリンク剤、化粧品など、幅広い製品分野で活用されている。健康食品市場を代表する蜂産品由来素材の 1つとして定着してきた歴史を持つ。

 

 RJ市場の動向を把握する指標の 1つが、(一社)全国ローヤルゼリー公正取引協議会が発行する品質認証「公正マーク」だ。同協議会が定める品質基準を満たした製品に付与され、消費者の商品選択に役立てるためのもの。有効期限は1年間で、毎年更新審査が行われる。令和 7年度の公正マーク発行枚数は56万4,200枚となり、前年度の56万104枚から約4,000枚増加。前年比では100.7%と微増となった。近年は協議会から交付されるシール形式のマークが減少傾向にある一方、製品パッケージに直接印刷する「自己印刷」の利用が増加しており、総発行枚数はほぼ横ばいで推移している。

 

 RJ原料の輸入量については、通関統計によると、2025年は205tで、前年の320tから36%の減少となった。輸入国別にみると、中国が180tと依然として大部分を占めており、国内市場における主要供給国となっている。この他、台湾9t、ニュージーランド5t、米国5tなど。減少の背景には、前年の輸入量増加に伴う在庫調整の影響に加え、海外サプライヤー側の生産ロットや生産ペースの変動なども影響した可能性があるとみられる。また、国内流通の大半を中国産が占めることから、台湾有事を巡る議論を背景に、日中関係が悪化し原料輸入への影響を懸念する声も上がったが、関係者からは「現時点では原料の輸入に大きな影響は出ていない」との見方が多く、供給面での混乱は生じていない。輸入品には生RJと粉末RJが含まれており、国内では生タイプの流通量が多いとされる。

 

 国内における主要な原料・OEMサプライヤーでは、アピが長年のエビデンスと徹底した品質管理を背景に、デセン酸を規格化したローヤルゼリー原料の安定供給を行い、受託製造と原料販売の両面で事業を展開する。森川健康堂では、水溶化原料「ローヤルゼリーペプチド」の採用が拡大、飲料やゼリーなど一般食品への用途展開が進んでいる。ジャパンローヤルゼリーは、独自の自然養蜂技術を背景に高品質原料の供給体制を構築し、研究開発や新製品投入を通じて新規顧客層の開拓を進める。クインビーガーデンは、原料供給やOEMを展開し、国内外で堅調な需要を維持している。秋田屋本店でも蜂産品の長年の取り扱い実績を背景に、ローヤルゼリー原料の供給を継続している。

 

 長年販売されている生RJ製品は高齢者層を中心に一定の需要を維持しており、価格帯は1万円から4万円程度の高価格商品が多い。長年の愛用者による継続購入が市場を支えており、生RJ製品の売上は横ばいで推移しているという。その他、ドリンクタイプのRJ配合製品は、滋養強壮用途を訴求する商品が多い。今回の取材では、中高年層の健康ニーズに対応する形で、RJに他の機能性素材と組み合わせる複合型サプリメントの提案が増えていることがわかった。抗疲労素材やロコモ素材などと組み合わせた製品が上市されており、価格帯は4,000円から1万円程度で、生RJ製品よりも比較的手に取りやすい価格帯となっている。RJの主要サプライヤーや関連企業への取材を基に推計した2025年のRJ市場規模は、前年比2%減の290億円となった。

 

 ここ数年、横ばいと微減を繰り返してきたRJ市場だが、浮上のきっかけとなるニュースが舞い込んできた。3月5日付で、山田養蜂場の『クイーンズバランス(届出番号K724)』および『クイーンズバランスa(届出番号K730)』が、機能性表示食品として相次いで受理された。機能性関与成分はローヤルゼリー由来脂肪酸(10-ヒドロキシ-2-デセン酸、10-ヒドロキシデカン酸)。ヘルスクレームは、「中高年期の一時期において感じやすい体調変化を自覚する健常な中高年女性の、一時的な不安感、日常動作における一時的な背中や腰の不快感を軽減する機能が報告されています」。RJの機能性表示食品は、2019年にアピが受理された1品のみにとどまってきたが、今回の受理により3品となった。中高年女性の体調変化に伴う心理面への機能性表示の受理は初で、RJの新たな機能性の提案として注目される。つづく

 

 

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