連載【自然食品店・オーガニック専門店の戦略】 ブレない理念が生んだ専門店の新しい形

 YAMASHO Natural Eats & Liquor(京都府京丹後市)は、関西エリアを中心にオーガニック食品と酒販を融合させた専門店を展開しており、現在12店舗を構える。食品・オーガニック領域へ大きく舵を切った背景には、山本社長の“食の重要性”に対する揺るぎない信念がある。価格競争が激しくなる小売の世界で、「好きなものだけを売る」「本質だけで勝つ」というシンプルながら大胆な姿勢を貫き、オーガニック食品の価値を生産者から消費者へと繋ぐ独自のスタイルが、着実にファンを広げている。

 

――オーガニック食品に舵を切ったきっかけは?

 6年前エビを食べて黄疸が出てしまい、3ヵ月ほど自宅療養していました。その時に主治医から食と体調の繋がりについていろいろ学んで。“ああ、これが天命である”と気付いたんです。食品メーカーに勤めていても、本質は理解できていなかったのですが、療養の経験で、食を通じて社会を変えるという道がスッと腹に落ちたんです。そこで酒一筋を理念として食品は販売しないとしていたのを、事業の目的を「医食同源を広める」に一気に変えました。

 

――食品の取り扱いは、どのように?

 初めは既存の8店舗の酒販店で食品販売をしようと思ったのですが、どうもイメージが湧かなかった。ある大学で二つの異なる領域を一つにする時イノベーションが起きるという話を聞き、これだと思い、スーパーマーケットを買収して酒販店と融合しました。2019年11月に京丹後市でスーパーの建物と従業員を引き継いだことが食品事業の始まりです。まずそのスーパーにオーガニック食品と酒を投入し2年間実証実験を行いました。そこである程度のノウハウと結果を得ることができましたので2022年3月、兵庫県芦屋市に新業態の芦屋店を出店しました。

 

――好きなものだけを売っている?

 酒屋時代から、好きな商品だけ売ると決めています。シェアの大きい大手メーカーで棚を作らないのも、そういう感覚なのです。他店にないもの、自分が本当にいいと思えるものだけを取り扱います。もともと酒の専門量販店のため価格競争は大好きなのですが、それ以外の価値も必要です。ナショナルブランドの占有率が大きい酒類業界でサバイバルしていた方法をそのまま自然食品にも当てはめただけで、特別なことは何もしていません。これからも酒屋の矜持を持って経営していきたいです。キッコーマン勤務時代に社会人としての全てを教わりました。また小売業で働いたことがなかったので、酒屋を継いだ27歳の時に出会ったウォルマートのサムウォルトンの自伝書『エブリデーロープライス』を手本にしました。これからもその二つの教えを大事にしていきたいです。つづく

 

 

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