特集【プラントベース】 政府がフードテックを国家戦略化、加速するプラントベース市場の構造転換

 政府は現在、供給構造の強化と危機管理投資を柱とする「17の戦略分野」を掲げ、産業政策の再構築を進めている。その中で「フードテック」が正式に戦略分野として位置付けられたことは、食品産業にとって大きな転換点となる。フードテックは、AI・半導体、量子、合成生物学などと並び、国家的に重点投資すべき領域として明確に示された。こうした動きを受け、農水省は昨年末より「フードテックワーキンググループ」を立ち上げ、植物工場、陸上養殖、食品機械、プラントベース食品を含む新規食品の現状整理と課題抽出を本格化させている。フードテックの中でも、植物性食品(プラントベース)は重要な構成要素として扱われている。植物工場や陸上養殖と同様、食料供給の多様化・安定化に寄与する技術として位置づけられ、政策的な後押しが期待される領域だ。これまでプラントベース食品は、主に民間主導で市場が形成されてきたが、政府が戦略分野として明確に位置付けたことで、研究開発支援、規制整備、流通インフラの高度化など、政策的支援の対象となる可能性が高まっている。

 

 プラントベース食品は、一般消費者市場では伸び悩みが指摘される一方、BtoB領域では明確な追い風が生まれている。特にホテルや外食産業では、インバウンド需要の回復に伴い、宗教・アレルギー対応としてのプラントベースメニューの重要性が高まっている。訪日客の多様化が進む中で、動物性原料を使用しない選択肢を提供することは、もはや“付加価値”ではなく“必須のサービス”として認識されつつある。こうした需要の高まりに加え、近年は原料調達の観点から植物性原料を採用するケースも増えている。畜産原料の価格変動や供給不安が続く中、植物性原料の安定供給性が評価され、結果としてプラントベースへの置き換えが進む構図だ。さらに、植物性原料による味覚面でのメリットが採用理由となる事例も見られ、プラントベースが“美味しさを実現する手段”として活用される場面が増えている。外食チェーンでも、ブランド戦略の一環としてプラントベースを導入する動きが広がる。健康志向や環境配慮を訴求するだけでなく、メニューの多様性を確保することで顧客満足度を高める狙いがある。結果として、プラントベースは「理念先行の特別な食品」から、「顧客対応力を高める実務的な選択肢」へと位置づけが変化しつつある。つづく

 

 

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