特集【サケ由来機能性素材】 新規成分「PDRN」が話題に

 かつての大衆魚であったサケは、近年希少性と健康機能が着目され高級魚へと昇格。漁獲量の急激な減少によりサケ個体の価格高騰が続いている。北海道連合海区漁業調査委員会が発表した2024年の秋サケ沿岸漁獲速報は、前年比約35%減の約561万尾だった。日本では、北海道で漁獲されるのが全体の 8割以上とされているが、このほか青森や岩手県などでも一定量漁獲されている。2025年の総統計はこれから発表されるが、今年も減少傾向とみられる。北海道立総合研究機構の担当者によると、海水温の上昇により稚魚の成育に悪影響を与えている点や、成魚になっても温まった日本海に戻らず北上してしまうなど様々な要因が絡み合い、近年の漁獲量減少に至る。かつては、キロ数百円だったある原料は、数千円と20年で10倍以上となり、各社原料確保に奔走している。

 

 健食および化粧品用途では、鼻軟骨や白子、卵巣、皮など、主にサケの未利用部位から機能性素材を開発している。サケの身にはアミノ酸、プロテイン、アスタキサンチン、ビタミンD、アンセリン、イミダゾールジペプチド、皮にはⅠ型コラーゲン、鼻軟骨には、プロテオグリカン(PG)、コンドロイチン、Ⅱ型コラーゲン、白子には核酸、プロタミン、卵巣膜にはプラセンタ様物質など、部位ごとに健食・化粧品向けに使用できる成分が豊富に含まれている。健康食品では、PG、核酸、プラセンタが市場を牽引。PGは、サケの鼻軟骨に含まれるタンパク質と糖鎖が結合した複合糖質の1つ。ヒトの軟骨や皮膚にも存在し、コラーゲン、ヒアルロン酸の促進・産生作用を有し、肌のシワ、保湿、関節サポート分野で利用が進んでいる。サケの水揚げ地域である北海道や青森県が、研究開発拠点となっている。青森県では弘前大、あおもりPG推進協議会と民間メーカーが産学連携によりPGの機能性研究および用途提案を推進。2024年9月末までPG推進協議会加入企業全107社の累計製造出荷額は604億円(前年約508億円)を突破した。PGを配合した健康食品は272品、化粧品は159品に達している。リナイスでもPG原料が、タイやマレーシア、韓国向けに輸出が好調。米国SelfGRAS認証の取得も進めており、北米市場への本格展開を視野に入れている。

 

 核酸は、サケ白子を由来とする成分。PGに匹敵する市場形成が進む。昔は廃棄されていたが、約30年前に日生バイオが北海道大学との共同研究により、サケ白子由来のヌクレオプロテインやオリゴDNAなどの核酸成分を研究し商業化した。核酸の商業化に尽力した遺伝子栄養学研究所の松永政司理事長は、「核酸は、基礎代謝やエネルギー産生に関わる成分としてビタミン、ミネラル、食物繊維に並ぶ「第 7の栄養素だ」と話す。サケ由来のプラセンタは卵巣膜から抽出・精製するプラセンタ様物質。化粧品・サプリメント共に配合が可能。ヒト線維芽細胞のコラーゲン産生などの美肌のエビデンスを持つ。動物由来を避ける大手化粧品メーカーや海外メーカーなどが近年積極的に利用している。日本バリアフリーの「マリンプラセンタ®」は、世界18ヵ国に取引先を持ち、動物由来プラセンタが禁止されているタイ、インドネシア、マレーシアなどへの輸出が、ここ 1〜 2年は伸長しているという。協和薬品もHOKKAIDOとHALALを合わせたブランドとして、プラセンタ様成分『HDLSOP』をイスラム圏へ展開している。

 

 新規原料も上市されている。リナイスは、サケ頭皮由来の非変性Ⅰ型コラーゲンやエラ部分から抽出したエラスチンの製造に成功。新たな未利用資源活用原料として提案を開始している。また、韓国の化粧品メーカー・リジュランが、サケ白子由来の成分「PDRN」を配合した化粧品をヒットさせたことで、化粧品成分「PDRN」にも注目が集まっている。韓国コスメ人気の高い日本でも昨年来、「PDRN」が一大ブームに。アットコスメでは、 今注目の美容成分として「PDRN」を取り上げている。健康食品や化粧品関連展示会でも、「PDRN」配合製品の出展社が急増。本紙が11〜12月に化粧品受託企業を対象に実施したアンケート調査(有効回答111社)でも、「PDRN」は今年下期の人気受注成分10位、来年上期予想では 6位にランクインしている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1826号(2025.12.17)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら