特集【プラセンタ】 “フェムケア””エクソソーム”が鍵に
美容成分として体感の高さと認知度を持つプラセンタ。主に、ウマやブタなど哺乳類の胎盤から抽出したアミノ酸など豊富な栄養成分を含む。長く健康食品および化粧品の原料として利用され、コラーゲンやヒアルロン酸に並ぶ人気素材だ。本紙が今年6月に実施した健食受託メーカーへの調査で、プラセンタは2025年上半期の人気受注素材で7位にランクイン。同月に実施した化粧品受託メーカーへの調査では、2025年上期の化粧品人気受注成分でも7位と、サプリメント・化粧品共に安定した人気素材となっている。本特集の取材では、供給量が安定しているサプライヤーがある一方、「2025年下期の状況は芳しくない」「ベトナムへ輸出していた製品が政権交代を機に、輸出がストップした」「昨年の反動で今年は減少した」などの声が聞かれた。
サプライヤーは動物の胎盤を扱うことから、お産の受け入れ体制、その後の殺菌・消毒・保管・抽出まで、徹底した管理が求められ、医薬品製造レベルの技術を持つ企業が多い。ブタ・ウマプラセンタの主な原料サプライヤーは、スノーデン、ホルス、東洋酵素化学、佳秀工業、日本ビオファック、三共バイオケミカルズ、肌美和、一丸ファルコス、ホスミン栄養化学工業など。シカプラセンタは、低価格でブタ同様のアミノ酸成分を含み近年需要が伸びている。原料価格は、ブタは3 ~10万円台、ウマ10万円程度が底値に、シカは3万円台。国産・海外産共に流通しており、海外産は為替の影響で若干値上がりしているという。各社は、胎盤の鮮度・安全性はもとより、機能性研究を強化し付加価値提案する。スノーデンは、更年期症状改善や睡眠の質向上などのエビデンスを蓄積。ホルス、佳秀工業では、ヒト試験による肌の保湿、毛髪サポート、睡眠の質改善、更年期障害のサポートなど、フェムケア向けのエビデンスで差別化を図っている。
最大の差別化となるエクソソーム含有プラセンタは、各社各様の提案を行っている。化粧品原料としてブームとなっているが、健食業界でも最近注目されている。一丸ファルコスやホルスは、いち早くエクソソーム含有プラセンタを提案。エクソソーム数を規格化した原料も有し、着々と製品化が進む。グラツィアなどのエステサロンでは、エクソソーム入りサプリメントが人気アイテムとのこと。また、サケ卵巣膜から抽出したプラセンタからエクソソームを規格化する動きも出てきている。「食品開発展2025」では、日成興産 がホルスのウマプラセンタ由来のエクソソームの研究成果について発表。同社では、エクソソームとα-リポ酸が筋持久力の向上についてのエビデンスを紹介した。日本バリアフリーは、サケ卵巣膜由来プラセンタを精度の高い検査法でエクソソーム規格化を準備する。
ヨーロッパやアラブ圏へ非動物由来プラセンタを提案する企業が健闘している。これらの国は動物の胎盤が食品として認められていないため、代替品として植物やサケ由来プラセンタなどが受け入れられている。また、大手化粧品メーカーも動物原料を避けることから、植物由来の提案が行われている。ホスミン栄養化学工業は、産学官連携でパイナップル由来のプラセンタ様成分を開発。プラセンタとの併用で、プラセンタ単体より5.6倍の美白効果を確認済み。グループのプランドゥシー・メディカルを通じて、化粧品の販売を展開。イメージの良さに加え、動物由来にはない機能性で利用が進む。つづく
詳しくは健康産業新聞1824号(2025.11.19)で
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