【話題追跡】 機能性表示受理、届出様式の刷新がハードルに?

 機能性表示食品制度は消費者からの信頼獲得に向け、新たな舵をきっている。新様式では報告項目の増加や詳細化が求められるなど、より高い専門性が求められようになった。新制度スタート以来、届出受理のハードルは確実に上がっている。消費者庁からの差し戻しは厳しい指摘が相次いでいる。その理由は、「SRに関する削除、採用文献についての詳細理由の追記、新様式に合わせた書式追加に関する指摘があった」など。企業からは、「科学的根拠の質やエビデンス総体の確実性の評価について、差し戻しがあった」「差し戻し後もPRISMAバージョンや各様式の変更で手間が増えている。新様式はどのように提出するのが正解かわからず滅入っている」など、先行きの不透明感を嘆く声が聞こえる。「昨年の2020対応が受理できなかった時期と似た状況だ。消費者庁の機能性表示に関わる組織変更が4月にあった影響が出ているのでは」と推測する声もあった。実際、今年度の新様式でのSR届出受理件数は204件(8月28日届出日まで)。前年同期(582件)と比べで大きく下回っている。

 

 新様式での届出はどこに難しさがあるのか。その背景には、健康食品産業協議会が3月17日に公表した“システマテックレビュー記載の留意点(第一版)”を踏まえた届出資料作成の指摘の“二重の厳しさ”がある。届出支援を行う㈱薬事法マーティング事務所・代表取締役の渡邉憲和氏によると、「ひとつでも記載項目の書き漏れがあると、記入不備とみなされる」と指摘。エビデンスの質では、過去に受理実績を多く積んだ事例でも今まで以上に厳しい視点でみられるようになった。論文の内容が実際のエビデンスとして相応しくないと判断されると、消費者庁から“エビデンスの記載を再度確認して下さい”と差し戻される。過去の受理実績は関係なく、今年4月以降は従来の視点がリセットされたイメージとしている。今年で10年目を迎えた機能性表示食品制度は今、大きなターニングポイントを迎えている。つづく

 

 

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