ZOOM UP【オーガニック&ナチュラル】 「ギルトフリー」「伝統製法」「エシカル」 マーケティングのヒントに

 健康志向や環境意識の高まりを受け、オーガニック食品や自然派商品の需要が高まっている。購入層は販売チャネルごとの特性があり、EC(オンライン)は若年層や子育て世代、地方在住者。自然食品専門店では高齢者層や健康志向層、富裕層。ドラッグストアでは女性や健康志向層などが目立つ。昨今ではコロナ禍を発端とする食品の安全性・品質を見直す機運の高まりから、若年層や男性層の新規ユーザーを取り込んだ。自然食品店・あしたばによると、「健康意識や自然環境に興味・関心が湧いたという声が目立つようになった。SNSなどから得た情報も意識を高めた要因のひとつ」と指摘する。

 

 手軽に商品を購入できるチャネルの選択肢も広がっている。従来の専門店はもとより、食材宅配サービスや通販チャネルなどが潜在需要の掘り起こしに一役買っている。宅配サービスや通販チャネルでは、共働き世代や都市部の30代〜50代女性、高齢者層、子育て世代にまで利用層が広がっている。専門店(自然食品店・オーガニックショップ)では、豊富な商品知識や接客による信頼度の高さを強みに、健康志向の高い中高年層などの顧客を囲い込んでいる。地域密着型の店舗も多く、ワークショップや試食イベント等の取り組みで差別化を図っている。昨今ではインスタを駆使した顧客の囲い込みも。

 

 自然食品専門店の㈱Daisy Freshによると、「百貨店などの催事情報はインスタを利用している。料理教室や農場の写真も不定期で送付している」という。商品選定は地域のニーズを反映しており、「情報は来店客の会話等からヒントを得ている」という。商品開発やマーケティングのヒントについて、健康・簡便・環境配慮はもとより、世代別の価値観を分析する必要がありそうだ。専門店各社のヒアリングによると、「ギルトフリー」「昔からの伝統製法」などがキーワードに浮かび上がっている。「新規層はヴィーガンなどのストイックさを求めていない。カジュアルオーガニックが求められている」との声も。簡便性では、「忙しい生活に対応する“自然派レトルト”“オーガニック冷凍食品”の需要が高まっている」との声があった。このほか、SNS連携や定期購入モデルなどの施策は若年層や共働き世帯、都市部の健康志向層に支持されているという。

 

 エシカル消費は、オーガニック・ナチュラルとも親和性がある。環境・人・社会に配慮した倫理的な選択の一部として位置づけられており、動物の命や快適性に配慮した畜産物を選ぶ消費行動はアニマルウェルフェア(動物福祉)として知られる。放牧飼育や平飼いなど、ストレスの少ない飼育環境に配慮した商品はこのほど、有機JAS認証商品『有機クリームシチュー』(創健社)が発売となった。オーストラリア産のグラスフェッドをミルク原料に使用したもの。非遺伝子組み換えの牧草だけで飼育した牛から搾乳・製粉したことなどを訴求している。つづく

 

 

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