ZOOM UP【販促・営業支援】 「取引の適正化」、物流業界で新たな施策も
国内の物流インフラがこれまでにない課題に直面している。国土交通省では、2021年6月閣議決定『総合物流施策大綱(2021~2025年度)』として、物流DXおよび標準化によるサプライチェーン全体の最適化、労働力不足に対応した構造改革と労働環境の改善、持続可能な物流ネットワークの構築を推進してきた。だが、計画最終年度となる6月時点の施策の進捗状況では、約7割の項目が未達と評価され、このまま対策を講じなければ、2030年度に輸送能力が約34%(9億t相当)不足する可能性がある。このため、国土交通省では、厚労省や消費者庁、公正取引委員会などをオブザーバーに迎えて検討会を実施。荷主の行動変容を促す規制的措置等の導入や、再配達削減に向けた取り組みなどと共に、適正運賃の収受や、改正物流法施行など、課題解決に向けた施策を推進している。10月28日・29日には、国土交通省『トラック・物流Gメン』と公正取引員会とが連携した初の大規模荷主パトロールを都内で実施。物流産業全体の違反原因行為の未然防止と共に、取引適正化を図る監視体制を一段と強化している。
健康産業においては、eコマース・プラットフォームの拡大や、越境ECを含むデジタル決済の革新などを受け、健康・美容関連商材の流通が拡大しており、物流対策は喫緊の重要課題のひとつだ。通販市場においては、多くの事業者が導入している「置き配サービス」をはじめ、「バックの利用促進」(千趣会)や「置き配ポイント付与」(ファンケル)、「複数商品の納品集約による大口一括輸送へのシフト」(えがお)、「仕入れの際のバラ積み納品を廃止し、パレット納品へ切り替え、荷待ち時間を約15%削減」(新日本製薬)、「運送業者と共同でメンバーズ登録者への置き配バックプレゼント実施」(オルビス)、「出荷量繁閑差の平準化で持ち込みトラック台数約40%削減」(ニッピコラーゲン化粧品)など、「再配達の削減」に対する取り組みが顕著だ。日本通信販売協会では、『通販業界における物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画』を更新し、事例共有による再配達削減の推進に継続的に力を入れている。
健康食品や化粧品の通販事業者およびブランドオーナーでは、宅配クライシスを経て、宅配ロッカーの普及や、近隣店頭での荷受けなど受け取り方法の多様化が進む中、配達を従来のように店頭と顧客へ分けて管理できない状況が生じるなど、商品流通が複雑に入り組んでいるケースが多い。こうした課題解決のため、健食・化粧品の販促に特化し、製造業と物流支援までをサポートする提案も見られる。業界では、健康食品や化粧品の製品ODEMから物流支援までをトータルサポート事業として手掛ける㈱東洋新薬や、健康食品・化粧品専用の充填包装から保管、物流代行、コンタクトセンター代行までワンストップで対応する㈱ミズ・バラエティーなどの事業者が活躍している。つづく
詳しくは健康産業新聞1823号(2025.11.5)で
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