【インタビュー】 糖化対策に「アルデヒドトラップ」が有効
同志社大学生命医科学部 糖化ストレス研究センター 客員教授 八木 雅之 氏
近年、糖化ストレスは、糖とタンパク質の反応という基本的な枠を超え、糖類、脂質、アルコール由来のアルデヒドによって誘発される体への負の影響を指す概念へと進化している。特にアルデヒドについては、それ自身が血管内皮細胞のアポトーシスを誘導すると同時に、AGEs生成の前駆体(中間体)となり、糖化を進める要因のひとつであることがわかっている。食後に血糖値が急激に上昇する現象を指す「血糖値スパイク」が、糖化ストレスにおける重要なテーマだが、血糖値が急上昇すると体内で糖化反応が活性化され、その過程においてメチルグリオキサール(MGO)などのアルデヒド類が生成される。これらのアルデヒドに対し、化学的に無害化することが、糖化対策には重要で、これを”アルデヒドトラップ”と呼ぶ。
現在、アミノ酸を用いたアルデヒドトラップ作用について研究を進めており、有効な手段の一つと考えている。血中のアミノ酸濃度は、摂取後1時間程度で最高濃度となり、その後、低下していくことが知られている。このことから、グルコーススパイクに伴って起こる血中アルデヒド上昇(アルデヒドスパーク)を、アミノ酸を多く含む食品を糖質と一緒に、または事前に摂取することで予防できる可能性が出てきた。これまでの研究で、食後高血糖対策食品(糖質分解酵素阻害作用)などは多数存在しているが、アルデヒドトラップ作用素材が今後数多く見つかれば、糖化ストレス対策の新たな機能性素材となり得る可能性がある。つづく
詳しくは健康産業新聞1823号(2025.11.5)で
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